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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
天剣授受者
日常とは常に面白いものである
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ませんから……一人、いたのですがね。都市外へ行ってしまいましたよ』
 デルボネの声に少しだけ後悔が混じる。
 そんな中、ルイメイは後ろから歩いてくる多数の人物に気づく。それはルイメイも見知った者たちだった。
「シキ君、大丈夫ですか!? 怪我とかしてませんよね!」
「……ウザッ、銃使ってない」
「し、シキ大丈夫かな? ティア」
「大丈夫よ、リヴァース。あいつはそう簡単にくたばりはしないわよ」
「へぇ、シキの他にもあんな子がいるなんて、やはりこの都市は僕を飽きさせない」
「お前ら……見てたのかよ」
『ええ、最初から見させてましたから……あぁ、ティグリスとカウンティアさんは自宅で見てますよ』
 ゾロゾロと集まってきたのは天剣授受者、ここまで集まるのも珍しい。というか、対人スキル最悪の天剣たちは基本的に仲が悪い。口を開けば口論になり、剄が飛び交う。唯一、全員に隔てなく接することができるのはリヴァースと呼ばれた身長の低い色白の太った男ではなかろうか。
 そんな歩く危険物である天剣たちを師匠にしているシキも大概に外れた存在である。
「あいつも大変だよなぁ」
『いいんじゃありませんか? 嫁ぐ先が沢山ありますし、なんなら全員娶ってもいいのでは?』
「……デルボネ、あんまやるとシキが怒るぞ?」
 ルイメイはワイワイと騒ぐ、天剣たちを見てため息をつく。こういう役割は苦労人のカルヴァーンだろ、と思う。
 ため息をつくが心は晴れやかだった。何か美味いもんでも奢ってやろうと思い、シキを向かいに行こうとするがデルボネが発言する。
『あら? シキと男の子が倒れましたね』
「……し、締まらねえ」


 女王は一つの錬金鋼を手に取る。
 白銀の錬金鋼だ。これがグレンダン、いや世界最強の錬金鋼、天剣。その最後の一本『ヴォルフシュテイン』。
 長く主を持っていないそれは疼いていた。
 女王は手に取った天剣を再び置き、端子から送られてきた映像を見て笑う。そこには細剣を持ったシキが戦っていた。
「さっすがシキ……ホント、さすがね」
 女王は泣きそうな声を出しながら映像を見る。
「あなたには過酷な運命が待ってる……だから、強くなって」
 女王はそう言って、端子からの映像を止めて歩き出しながら、別の紙を懐から取り出す。
 そこには天剣授受者選定式と書かれた紙があった。
 女王はそれに直筆のサインをして、また懐にしまった。

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