第一章 グレンダン編
天剣授受者
日常とは常に面白いものである
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る。
老生体はシキたちに構って入れるほど余裕がないのか、自身の回復を優先させていた。だが、傷口は中々治らない。苛立ちげに咆吼した瞬間、シキたちは同時に動いた。
レイフォンは上空、シキは地面から、旋剄で近づいた。
そしてそのまま練っていた剄を開放する。二人がその技を使ったのはただの偶然だった。
サイハーデン刀争術、焔切り。
そうただの焔切りだが、シキとレイフォン二人の剄が混ざり合い、それが衝剄となって老生体の体をズタズタに切り裂く。
後日、二人はこの技をこう名づけた。
サイハーデン刀争術、焔切り・襲
「「あぁあああああああっ!!!」」
限界まで練った剄は色を変え、赤くなっている。錬金鋼も限界を超えて爆発寸前だ。
だが、二人はさらに追撃をかける。
シキは上向きに切り裂いていた細剣を下向きに、レイフォンは下向きを上向きにして剄技を放った。
サイハーデン刀争術、焔重ね・紅布。
二つの炎の爆布が老生体の体に叩きつけられる。
そして……。
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
一際大きな絶叫を上げて、老生体は地に伏した。
荒く息を吐く、シキとレイフォン。
特にシキは今まで体験したことがないほど疲弊していた。剄をここまで消費したこともないし、あそこまで剄技が通用しない相手とも出会ったことがない。
「い、生きてるか、レイフォン?」
「なんとか……」
膝をつき活剄を全力で回復に回す。一時的に消費しただけで、レイフォンもシキも出し尽くしたことがない。ただ出すことに慣れていないせいで疲れただけだ。
シキはこれまでにない充実感に満ち溢れていた。強大な敵との戦い、溢れ出る剄の使用、命の駆け引き、知らず知らずのうちにシキは唇をつり上げて笑っていた。
レイフォンはボーッとした目でシキを見ている。その目には複雑な感情が宿っていた。
そして二人は忘れていた、手に持っている錬金鋼が爆発しそうなこと。
数秒後、気づいた二人が全力で錬金鋼を放り出して逃げ出したのはご愛嬌というやつだろう。
「ハッハッハ! 倒しやがった」
『将来が楽しみですね。あの加勢に来た子も良い才能を持っていますね』
ルイメイは豪勢に笑いこげる。当たり前だ、十歳で老生体を倒すなど正気の沙汰ではない。もはや悪夢だ。
デルボネも優しく笑う。
「こりゃ、今回の天剣授受者はあいつだな」
『わかりませんよ? お弟子さんを持ち上げたいのはわかりますが……あの子は制御が甘いですからねぇ』
一通り笑った後、ルイメイは真剣な顔をする。
「次回はねえぞ、今度は俺が戦う」
『ええ、そうしてください。今回は老体に堪えます、私も歳ですかね』
「はっ! 早く隠居しないからこうなる」
『後継者がい
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