第一章 グレンダン編
天剣授受者
日常とは常に面白いものである
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的にも戦力的にも避けたい。
使うかべきか、とシキは自身の戒めである錬金鋼に手が伸びる。
しかし、それを掴むことはなかった。視界の端に見慣れた影が見えた瞬間、シキは細剣を復元してから、腰に添える。細剣でやる技ではないが、相手がやる気なのだ。シキがやらないわけにはいかない。
外力系衝剄の変化、轟剣。
シキと相手……レイフォンはほぼ同時に放つ。レイフォンは頭上からの強引な振り下ろし、シキは細剣の特性を生かした突き。
さすがの老生体の硬い体も、二人の圧倒的な剄には耐え切れず液体をぶちまけながら絶叫を上げる。
「なんで来た!!」
「シキがいるからだよ!! って、また錬金鋼壊したの!?」
「うっせ! 耐え切れない奴が悪い!」
「錬金鋼だって無料じゃないんだ!!」
「手加減できないんだよ!!」
「してよ! この下手くそ!!」
ぎゃあぎゃあと戦いの最中だというのに言い争いをするシキとレイフォン。老生体はそんな二人に容赦なく触手を伸ばす。しかし、先ほどのダメージがあるのかスピードはかなり遅くなっていた。
二人共、切り裂きながら後方にジャンプする。
そして息を整えながら、シキは提案する。
「ちょっと手伝え、レイフォン」
「……何か考えがあるの?」
「あぁ、まぁ失敗したら錬金鋼がおじゃんして死ぬな」
それを聞いたレイフォンは顔を顰める。
シキは心底、悔しそうな声で言う。
「今ままじゃ、イタズラに消耗するだけだろ?」
「そうだね、あいつ、今までの汚染獣と硬さが段違いだ」
レイフォンはまだ手に残る、老生体の硬さに驚いていた。実際、レイフォンは先ほどの一撃で終わらせるつもりでいた。だが切れなかった、深手を負わせることはできたが殺すまでには至ることができない。
時間をかければ倒せるだろうが、それまでレイフォンとシキの武器が持つかどうかわからない。武器がなくなればいくらシキやレイフォンでも死しか待っていない。
「一撃だ。お互い、全力の剄技であいつの傷口にもういっぺんブチ込む」
「単純明快だっけ? それ」
「えーと……多分」
「はぁ、錬金鋼の弁償はシキがしてね」
「……あぁ」
シキは錬金鋼の値段を思い出して呻く。多少補助金が出るだろうが、稼ぎのほとんどは消えることになるのは間違いなしだった。
レイフォンは苦笑しながらも、徐々に瞳から感情を消していった。だが、シキは普段通りに振舞う。ここらへんがシキとレイフォンの人間性の違いなのだろう。
二人は手に持った錬金鋼を力強く握る。
失敗すれば死ぬなんて考えを一切排除する。ただ生き残る、それがサイハーデン流の教えであり戦い方だ。勝つ、そこに負けるなんて要素を入れることはない。ただただ、それだけを考える。
息を吐いて、吸って、また吐く。そのまま剄を練り続け
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