第一章 グレンダン編
天剣授受者
日常とは常に面白いものである
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その証拠に、先ほどシキが与えたダメージを老生体は即座に回復させた。そして怒りのまま触手を伸ばす。
シキは拳を握り締め、一気に剄を開放する。
外力系衝剄の変化、剛昇弾。
巨大な剄弾が触手を焼き尽くし、老生体にも襲いかかろうとしたが新たに生やした触手に叩き落とされる。その光景を見たシキは驚愕する。今まで、剄技を撃ち落とされるなんて経験がほとんどなかったからだ。
「ッ!?」
間髪いれずに触手がシキに襲いかかるが、殴ったり蹴ったりしながら迎撃する。
しかし、シキは着実に消耗していく。
無理もなかった。たった十歳の子供には荷が重すぎるし、何よりシキは老生体との戦闘経験がない。
シキは心に燻っている焦りを抑えつつ、老生体の触手を迎撃し続けた。
「……なんでだ」
『陛下からの直々の命令ですから』
穏やかなデルボネの声にルイメイは珍しくイラついていた。
久々の老生体と戦えるチャンスを止められた挙句、妻が大事にしている『家族』に加勢できない事が彼のイラつきを増長させていた。
「あぁ、俺たちは天剣だ。陛下の命令とやらは聞いてやる……だがな、これだけは聞けねぇ」
『正直、私もですよ。出来る事ならあなたを向かわせて後退させたい』
穏やかだったデルボネの声が硬くなる。
ルイメイは驚きつつも、シキの人脈の広さを感心する。聞くところによれば、天剣たちに弟子入りをしているらしい。あのカウンティアまでもが師事していると聞いたときはさすがに苦笑いをするしかなかったが。
ルイメイは念威端子を通して送られてくる、映像を見る。そこには老生体に果敢に挑むシキの姿があった。
「二期か?」
『えぇ。しかし奇妙な進化をしていますね』
確かに、とルイメイは唸る。
通常の汚染獣は竜の姿をしているが、この汚染獣は肉の塊で触手を主に使っている。今まで通常の汚染獣しか戦ってこなかったシキには少しキツイ相手だ。
それだけに触手のスピードと老生体自身の耐久力が驚異であった。だがルイメイならば短時間で潰せる相手だ。
相手は動いていない、動いたとしてもそのスピードは鈍重だ。ルイメイの鉄球を頭上から落とせばそれだけで終わる。大きさもそれほどでもない、目測で三十メル程度だろう。
「にしても、あいつはなんで刀を使わないんだ?」
『先日、制御を間違えて失ってますからね……あら? この反応は?』
「どうした?」
デルボネは料理で調味料を間違えたような、その程度の驚きにしか感じられない声を出す。ルイメイも訝しげに端子からの映像を見る。
『どうやら後退の指示を聞かない人がいたようですね』
デルボネはおっとりとした声でそう言った。
轟剣で肥大化した剣で最後の雄性体を切り裂く。胴体から真っ二つになった雄性体
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