暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
第三十四話 人心
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る水晶のようなものを取り出した。それを見た祐斗は声を張り上げた。

「同志たちを殺して、聖剣の適性因子だけを取り除いたのか!?」

「そうだ。この球体はその時のものだ。三つほどフリードたちに使ったがね。これは最後の一つだ」

バルパーは結晶をかざしながらそう言っていたが祐斗は特大の殺気を出しながら再び口を開いた。

「・・・バルパー・ガリレイ。自分の研究、自分の欲望のために、どれだけの命を弄んだんだ」

「ふん。それだけ言うのならば、この因子の結晶を貴様にくれてやる。環境が整えば、後で量産出来る段階まで研究はきている。まずはこの町をコカビエルと共に破壊しよう。後は世界の各地で保管されている伝説の聖剣をかき集めようか。そして聖剣使いを量産し、統合されたエクスカリバーを用いて、ミカエルとヴァチカンに戦争を仕掛けてくれる。私を断罪した愚かな天使どもと信徒どもに私の研究を見せ付けてやるのだよ」

バルパーは持っていた因子の結晶を放り投げた。祐斗は足元に行き着きついた結晶を拾うと哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに撫でた。そして祐斗の目から涙が流れる。すると結晶が淡く光り始め、徐々に広がっていき、校庭を包み込んだ。地面から光が浮いてきて形を成していく。まるで祐斗を囲うように、光が人の形に形成されていった

「これは・・・一体?」

闇慈が疑問に思っていると朱乃が分かったように口を開いた。

「きっと、この戦場に漂う様々な力が因子の球体から魂を解き放ったのです」

今この場には魔剣、聖剣、悪魔、堕天使、そして死神と言った強力な力が集合している。そして闇慈は形を成した光、あれは、聖剣計画の犠牲となった人達だと理解出来た。

「皆!僕は!僕は!!ずっと、ずっと思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていて良いのかって。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしを過ごして良いのかって・・・」

霊魂の少年の1人が微笑みながら、祐斗に何かを伝えているようだった。闇慈や一誠達には、何を喋っているか分からない。しかし朱乃は理解することが出来たのか代わりに話してくれた。

「・・・『自分達の事はもういい。キミだけでも生きてくれ』。彼らはそう言っているのです」

霊魂の言葉が伝わったのか、祐斗の目から涙が溢れてくる。そして魂の少年少女達が口をリズミカルに同調させてきた。


「・・・聖歌」

アーシアは何を歌っていたのか分かり、そう呟く。祐斗も涙を溢れさせながら聖歌を口ずさみ出した。少年少女達の魂が青白く輝き、祐斗を中心に眩しくなっていく。本来ならば聖歌を聴けば悪魔は苦しむのだが、祐斗達は一切苦しみを感じていなかった。寧ろ友を、同志を想う温かさを感じた。闇慈も友を思うその心に何時の間にか、涙
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ