暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
鍛冶屋
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されている。それは《強化可能上限数》ではない。
何回までなら強化を試せますよ、という数字なのだ。
さらにイヤらしいのが、強化の成功率は、ある程度所有者の努力で操作可能な点だ。
腕のいい鍛冶屋を探すのは当然だが、強化に必要な素材アイテムを質的量的に奢れば奢るほど、成功率が上昇するのである。
だが、この点を除けばSAOの武器強化システムは、昨今のMMORPGの中では比較的単純なほうだ。強化パラメータとして《
鋭さ
(
Sharpness
)
》《
速さ
(
Quickness
)
》《
正確さ
(
Accuracy
)
》《
重さ
(
Heaviness
)
》《
丈夫さ
(
Durability
)
》の五種類があり、NPCやプレイヤーの鍛冶職人に依頼することで任意に性能強化を試みることができる。
その際、前述の通り専用の強化素材アイテムを要求され、また一定確立で失敗することは他のタイトルと同じだ。
どれかのパラメータの強化に成功するたび、装備フィギュア上のアイテム名に+1、+2という数字が付与されていくが、その数字の《内訳》は武器を直接タップしてプロパティを開かないと解からない。
そのため、プレイヤー間で武器を取引する際など、いちいち「正確さが+1で重さが+2で………」などと言うのもまどるっこしいので、たとえば+4の内訳が正確さ1重さ2丈夫さ1の場合は、《1A2H1D》と略する慣例となっている。
しかし、どんなプレイヤーであっても大抵はバランスよく強化している。
だから――
「聞いたこと無いわよ。《S180》なんて数字………」
そうなのだ。結局ここに落ち着いてしまう。
この広いアインクラッドのことだ、あたしが知らない武器カテゴリの武器が存在していてもあまり驚かない。
しかしこれには驚かざるを得ない。現在、最前線のモンスターからのドロップやトップクラスの鍛冶屋が鍛え上げることができる武器の《強化上限数》はせいぜい三桁行くか行かないかだ。
事実あたしが三ヶ月ほど前に鍛え上げた渾身の一振りの《強化上限数》は96だ。
はあ、とあたしは大きくため息をついてカウンターに突っ伏す。
それを見てなぜか罪悪感を抱いたような少年の声が、さながら天使のラッパのように降り注いだ。
「え、えーっと………ごめんね?」
疑問系だった。
あたしはうー、とうなりながら言う。
「これは………無理ね」
「やっぱ無理?」
「鋭さって言うのが無理だわー」
この世界で言う武器の《鋭さ》と言うものは、すなわち攻撃力である。
攻撃力が高いと言うことはすなわち、HP、または耐久値を多く削ると言うことである。そして、このとき問題になるのは後者である。
生産系スキルにはそれぞれ、大抵必須道具がある。鍛冶
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