暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
鍛冶屋
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とで何らかの攻撃をこのはんぺんがしたところでHPが減少することはありえない。

まあつまり、人間と言う霊長類ホモ・サピエンスとも言う生物は、禁止されればされるほどしたくなると言う悲しい性があるのだ。

だから、あたしが咄嗟にそれを振ってしまったことはむべ無かることだと信じたい。

とにもかくにも、あたしはその物体をバーテンよろしくシャカシャカ振ってみた。

そして──

ゴットンという音の直後、明らかな破砕音。

「………………………」

ギギギ、と効果音が付きそうな感じであたしは音がした方向へ首を回す。

そこにあったのは、やはりと言うか何と言うか両断された花瓶だった。

「…………………………………………………………はあッ!?」

あたしが半ば呆然として両断されたそれを見ている間にも、花瓶はささやかな光とサウンドエフェクトを振りまいて消失した。

ギギギ、と再びその少年のほうにあたしは振り向いた。

そこには、引きつった笑みをその幼い顔に浮かべた男の子がいた。










――三分後

「ふぅーん。《鋼糸(ワイヤー)》ねえ」

あたしはその穴から引っ張り出した、幅二ミリほどの糸をつまみためすすがめつしながら言った。こうして見ると、針金を収めた小型のメジャーに見える。

そして、そんなことが些末なことに見えてきそうなことが一つ。

その針金のような《刃》部分に触れているあたしの指の近くに浮かんでいる紫のウインドウ。《破壊不能(イモータル)オブジェクト》の表示。

少年があたしに忠告したのも当然だろう。圏内ではプレイヤーに攻撃判定が下ったとき、HPが減らない代わりに《破壊不能》が記されたウインドウが出てくる仕組みになっている。しかし、それでは武器屋で武器を手に取るたびにウインドウが浮かび上がってしまう、と言う事態が発生してしまう。

そんな事態を防ぐために、SAOでは《破壊不能》ウインドウの表示条件には、かなり細かいルールがある。

例えば、触れるだけではウインドウは出ないということだ。まあこれは、当たり前と言えば当たり前だ。

………目の前にある細っこい糸を除けば。

「まったく、なんなのよ。触れるだけで切れるって」

ぼやくあたし。しかしその理由はもう解かっていた。

《強化》の依頼があった場合、鍛冶屋プレイヤーが取るべき行動が一つある。

それは対象の武器の現状態確認だ。

もしその武器の強化上限回数が一杯だと、待っているのは武器消失(ロスト)という最悪の未来だ。

そう──。それがSAOに於ける武器強化システムの厄介なところなのだ。

この世界では、あらゆる強化可能な装備には、《強化上限数》というプロパティが設定
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