六話 過去の真相
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楽しそうに笑う音夢だったが、純一はいまいち思い出せていないようだ。
それも致し方ないことだろう。純一にとってはもう53年前のことなのだから。
「――でも、そうだな。たしかにさくらの笑顔はずいぶん久しぶりに見た気がするな」
夕食の席で見せたさくらの表情は本当に楽しそうに見えた。
彼女のそんな笑顔を見たのは、あってなかったことを差し引いても、本当に久しぶりに想えた。
「私的には、あの子のことも心配ではあるんですけどね」
「悠二君のことか?」
「ええ」
少し表情を曇らせた音夢が続ける。
「まるで昔のさくらちゃんを見ているような気になっちゃって」
「――」
言われた純一も否定できない。
どこがどうと言われても言葉に困ってしまうが、純一も音夢と同じ意見なことには違わなかった。
しっかりしている子だが、どこか危なっかしそう。というのが純一の中での悠二像だ・
事実、それは的を射ていた。
「――大丈夫さ。今度は大事になる前にワシ等大人が止めればいい」
「そうですね」
「――さて、ワシもそろそろ帰るか」
「その方が良いですね。もう一時近いから風邪ひいちゃったら大変ですから。兄さんももう年なんだし」
「――そうだな」
純一と音夢。外見の違いからまるで祖父と孫にも見えるこの夫婦は楽しそうに話しながら帰路につくのだった。
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