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蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第26話 猟犬
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と、エキノコックスを持っている可能性も有りますか。

 ならば、こいつらの死体をこのままにして置く事も出来ないか。
 それに、ヤツラの返り血を浴びた以上、俺も消毒と、多少の治療が必要と言う事。
 剪紙鬼兵が倒されて、返しの風を受けていますから。

 俺は、数枚の金貨を取り出し、ラウルに渡す。そして、

「これが消毒薬の代金。今晩は無理やけど、明日はその金を使ってアルコールで消毒してくれたら良い。
 ただし、ここで踏んだ犬の血は直ぐに洗って置く事が大前提やけどな」

 もっとも、そう気にする必要もないとは思いますが、それでも矢張り、この狂犬たちを操った存在如何によっては、ある程度の警戒は必要でしょう。
 疱瘡神や疫神のような存在は、世の東西を問わず存在して居ますから。

 死病憑きの犬と聞いて、少し、薄気味悪そうに犬たちの死体を見つめるラウル。
 そうして、

「成るほど。何故、犬たちが急に凶暴になってオマエさん達を襲ったのかと思ったが、死病憑きなら判るな。死病憑きの犬は、凶暴になって、少しの物音などにも敏感に反応する様なる」

 ……と、その見た目からは想像も付かない、知性派の台詞を口にした。どうやら、傭兵としては、かなり程度の高い、脳ミソまで筋肉で出来ているタイプの存在ではないらしい。

 しかし……。成るほどね。この世界でも狂犬病は恐怖の対象となっているのですか。
 何故ならば、俺が住んで居た現代社会でも、死亡率100パーセントの病として認知されていた病気ですからね、狂犬病と言う病は。其処から考えると、巨漢の傭兵ラウルの台詞は当然の事ですか。

「それで、この死体の処理はどうする心算なんだ? 死病憑きの死体をこのままにして置く事は出来ないだろう?」


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