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蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第26話 猟犬
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は低いとは思いますから。
 但し、絶対に有り得ないと言う訳でもないと思います。そして、危険な芽は早い内に潰して置くに限るとも思いましたから、こんな事を始めた訳ですし。

「仕事? いくら貴族の坊ちゃん方でも、傭兵を雇うのは安くはないぜ」

 俺とタバサを一瞥した後、再び、安酒かどうかは判りませんが、カップに注がれた琥珀色の液体を煽るように一気に飲み干す巨漢の傭兵。おそらくは、蒸留酒の類だと思いますね。

 もっとも、俺の言葉については頭から笑われるかと思ったけど、そんな事は有りませんでしたが。
 それに、金に関してなら問題は有りません。流石に、宝石類はあまり換金出来ないけど、金、銀、プラチナなどはかなりの量をハゲンチの錬金術で手に入れていますから。それで手に入れた貴金属を、この世界での活動資金用のエキュー金貨に換金した物がかなりの金額に成っています。

「雇うと言っても、今夜一晩だけの事。その代わり、ある程度の人数を集めて貰いたい」

 普通に考えたら、一晩だけの雇用になるから、多く見積もっても一人に付き金貨4,5枚程度だと思います。確か、これだけでも、半月は遊んで暮らせる程度の金額には成るはずでしたから。

 そう思い、金貨が百枚程度入った袋を取り出し、そのデカい傭兵の前に置く。

「おい、これはエキュー金貨じゃねえか」

 その袋の中身を覗き込んだデカい傭兵が、少し、驚いたような雰囲気でそう言った。
 それに、こんな見た目が子供の俺やタバサが持ち出して来て良いレベルの金額ではない事も事実でしょう。

 もっとも、俺としては、この傭兵たちが敵……白い仮面の男の手下として現れなければ良い、と言う程度の雇用ですから、大して彼らの戦闘力を当てにしている訳では無いのですが。

 確かに、昨日の元傭兵たちもそれなりの戦闘力は有していましたが、それでも矢張り、魔法の前には無力でした。そして、その白い仮面の男が、トリステイン国内の反王家の不満分子や、アルビオン貴族派からの工作員なら、魔法を使う人間が敵には確実に存在しています。
 その魔法使いたちの手足となって働く傭兵と言う存在が現れられると、流石に辛いですから。

 味方を巻き込んで魔法を発動させるような連中だって存在するはずです。所詮、傭兵と言うのは貴族からして見ると使い捨てのコマに等しいはずですからね。

「仕事は、『女神の杵』亭の泊り客の護衛。仕事は今夜一晩だけ。先ずは半金を今日。例え、今晩の間に何の事件が起こらなくても、残りの半金は明日の朝に支払う」

 この店中の傭兵を雇っても良い、と言う意味から少し大きな声で宣言する俺。もっとも、白い仮面の男が既に手を打っている可能性も有りますから、自らが雇った傭兵とは言え完全に信用出来る訳でもない、とは思うのです
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