第3章 白き浮遊島(うきしま)
第26話 猟犬
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トレード・マークと成っている自らの身長よりも大きな魔術師の杖は装備しています。これは誰がどう見ても魔法使い……つまり、貴族です。いくら見た目が子供とは言え、正面切って何か仕掛けて来る事もないと言う事なのでしょう。
もっとも、少しぐらいのチョッカイを掛けて来て貰った方が、こちらの実力を簡単に表現出来るので、後の交渉が楽には成るのですが……。
「少し聞きたい事が有って来たんやけどな。白い仮面を被った長身で左腕の無い男について、何か知っている事はないか?」
俺は、店の中央で、誰に問うでもなく少し大きな声でそう聞いた。
ただ、同時にろくな情報を得られる訳はない、とも思っているのは確かなのですが。
その理由は、この人物の事を知っている人間が居たとしても、そもそも、そいつ自身が仮面を被っているので、人相が判らない事には変わりがない。
更に、運よく、その仮面の男が居る時、及び場所に行き合わせると言う事も無かったみたいですから。
「昨日、ウロチョロしていたヤツなら、今日は来ていないぜ」
カウンターの方で立ったままの姿勢で呑んでいた傭兵の一人がそう言った。見た感じでは壮年。三十を少し超えたぐらいの年齢と言うトコロですか。
太い眉にエラの張った四角い顔。やや厚めのくちびるに、短めに刈り込まれた枯葉色の髪の毛。身長は、間違いなく俺より大きい。適当に見積もっても、2メートルに120キロとか言う体格じゃないかとは思います。
もっとも、本当に適当に見積もった数字なんですけどね。
但し、その濃いブラウンの瞳が、妙に人懐っこい雰囲気を漂わせています。
うむ。確かに傭兵ですからそれなりの危険な雰囲気も漂わせているけど、危険過ぎる雰囲気ではないですね。少なくとも、ある程度の信頼は置けそうな人物では有ると言う事ですか。
「用はそれだけなら、もう帰った方がいい。ここは、アンタらのような綺麗ななりをした人間が来る所じゃないぜ」
そう言う巨漢の傭兵。成るほど。この台詞からすると、この男はそんなに悪い人間でもないと言う事ですか。
それに、昨日の色々と小細工をしていた仮面の男の仕事に簡単に乗らなかったトコロからも、それが窺えると言う物でしょう。
何故ならば、昨日の傭兵どもは、傭兵兼山賊と言う連中で、簡単に境界線を越えて仕舞いましたからね。
「いや。それだけが用やないんや。仕事が入っていないのなら、信用出来る人間を集めて貰いたい」
一応、最初の用件は空振りに終わったので、次の話に移る俺。
しかし、この部分に関しては、もしかすると、無駄に成るかも知れないのですが。特に、昨日の今日で、同じような方法で、ルイズの持って居る密書を狙っている連中が、傭兵を雇って襲撃をして来る可能性
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