第3章 白き浮遊島(うきしま)
第26話 猟犬
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ませんか。
取り敢えず、何時までも看板や店構えだけを見つめていても始まらないので、ある程度の覚悟を決めて西部劇風のはね扉を押し開き、かなり小汚い店内に侵入する俺……とタバサ。
尚、当然のようにタバサは俺と行動を共にして居ります。
使い魔とその主人ですからこれは当たり前ですし、彼女を信頼して預けられる人間は居ませんから。
忙しく動き回る女性……所謂、酒場女たちの姿が薄暗い店内を色々な意味で動き周り、場に満ちる雰囲気は……、どう考えても教育的に良いと言う雰囲気でない事だけは確実な雰囲気。確かに、この手の安い酒場には付き物の淫靡にして猥雑で、そして、ある程度の活気に満ちた空間と言うべき場所でしょうかね。
つまり、侵入した店内は……かなり、と言うか、大盛況と言う雰囲気だった、と言う事です。
もっとも、正直に言うと、俺はこの手の雰囲気は苦手なんですが。ここは、ものすごい垢と体臭。そして、妙な嬌声に塗れた、この世界の一般大衆が住む世界ですから。
俺はどちらかと言うと、活字の中に世界を見出し、シェークスピアの中に時代を感じ、モーツァルトの中に哀愁や悲壮を感じる生き方を好む人間です。
ただ、色々な意味で、表面上の綺麗なトコロだけをみて生きていたいだけ、なのかも知れませんが。
尚、何故に、この安酒場が昼間から盛況なのかと言うと、昨夜の兵士達に事前に情報収集を行ったトコロによると、つい先日、アルビオンで大きな戦いが行われ、王党派の方が敗北。王党派に付いていた傭兵たちが戦場から生きて帰って来られてヤケ酒を煽っている者や、それなりに金を稼いで来たので、次の仕事が入るまで酒を呑んで暮らそうと言う者で店内がごった返しているらしいんですけど……。
兵士達の言を借りるなら、街の中が物騒になるから、連中、さっさと出て行ってくれないかな。……と言う事でした。それでも、これは仕方がない事だと思いますけどね。
昨日の傭兵たちのように、簡単に山賊に転身出来る連中もかなりいる、と言う事ですから。街の治安を預かる身としては、厄介事の種は少ない方が良いでしょう。
但し、飲み屋の親父たちの方からしてみたら、別の意見も有ると思いますけどね。これは、人それぞれ。立場に因って意見が変わって来ると言う典型的な例だと思います。
「おいおい、こんな場末の安酒場に坊ちゃん嬢ちゃんがお出ましだぜ」
酒臭い息を吐き出しながら、一人の酔客が場違いな店に侵入して来たエエとこの坊ちゃん嬢ちゃんの俺とタバサの方を見てそう言った。
それに、これは当たり前の反応でしょう。
但し、その酔客もタバサの手にしていた巨大な物体を目にして、何故か、少し酔いが醒めたような雰囲気ですごすごと隅の方に行って仕舞いましたが。
タバサはその
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