第3章 白き浮遊島(うきしま)
第26話 猟犬
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結局、あの決闘騒ぎはなんだったんですかね。
才人はワルド子爵に対して妙に好戦的でしたし、ワルドの方も才人に対して妙な対抗意識のような物が有ったように感じました。
確かに、いきなり、好きな女の子の婚約者などが現れたら心穏やかで居られるはずはないですし、その婚約者の方も、自らの婚約者の少女と寝食を共にしている男がいたら、平静を保って居られる訳などないのですが。……って、才人がルイズを好きかどうかなんて、はっきりとは判らなかったな。これは、典型的な思い込みと言うヤツですか。
それに、最後……立ち去り際にルイズが俺に伝えて行ったワルド子爵の二つ名『閃光』の意味。
ルイズは、俺とキュルケが二つ名についてギトー先生の授業中に話しをしていた事は知っています。
そして、レンのクモとの戦闘時に、俺がレンのクモの精霊の護りを無効化した事を知って居たとしても不思議では有りません。
つまり、彼女は、俺が相手の二つ名から推測して、相手の攻撃魔法を無効化する方法を持っている事が判っている可能性が高いと言う事です。
それで。この世界に光系統の魔法……レーザーなどに分類される魔法が存在していないと言う説明は、タバサより受けています。ならば、閃光と言う二つ名が付くとすると、炎か風の魔法使いと言う事でしょうね。あのワルド子爵は。
炎に関しては呪符頼りに成りますけど、風に関しては、俺の属性を付与した龍の護りで、このアルビオン行きの間ぐらいならなんとでも成るとは思いますが……。
ただ、俺は才人と同じ世界の出身ですから、間違いなく才人の側に立つ人間だと言う事は判っているはずなのに、その俺にワルドの情報を教えるルイズの気持ちは……。
☆★☆★☆
えっと、アルビオン帰りの傭兵が多く集まる『金の酒樽亭』と言うのは、この店の事ですか。
時間帯から言うと、現在は未だ午前中。もう少しするとお昼時と言う時間帯。しかし、このラ・ロシェールと言う街の特性からか、かなり薄暗く、少しの陰の気が漂う周辺の雰囲気。
薄暗い路地の一角に存在している、昨日のラ・ロシェールの護衛任務の兵士達に紹介された居酒屋の、最初のひとつを訪れて来たのですが……。
もっとも、酒樽は有るけど、金にはあまり縁が無さそうな店で有るのは間違いないですね。
一見すると廃屋と間違い兼ねない居酒屋を見つめながら、そう言う、どうでも良い感想を思い浮かべてみる。
それに……。
少し視線をずらして、更に廃屋らしき雰囲気を強く醸し出している、嘗て家具で有った残骸たちを見つめる俺。
まして、店先にうず高く積まれたこの壊れた椅子やテーブルの成れの果ては、一体何を意味するのか良く判らないのですが……。
もっとも、そんな事を今、気にしても何も始まり
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