23,役者は舞台へと
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いった論理だった理由は一切まとめて無視できるほど、この男の瞳には絶対的な何かが宿っていた。
ただならぬ俺の様子に、キリトやアスナから誰何の声が上がる。
が、それも一瞬のこと、肌で感じる感覚で俺の視線の先にあるのがタダ者ではないと直感したようだ。
「ふむ、そんなに睨まないでもらえるかな。大事な話し合いの最中なのだろう?」
想像よりもずっと穏やかな声を出して、目の前の男は俺達に向き直った。
「聞いていたのか?」
「なかなか興味深い話だったよ。だが、真実まではあと一歩といったところかな」
「!!」
優先を期待するよ。そう言い残して、ローブ姿の男がショップの外へと消えていく。
「私、話聞いてくるわ。あの人、ひょっとして何かに気づいているのかもしれない」
アスナが勢い良く椅子から立ち上がり、店の外へと走っていく。
「おい、アスナ」
思わず腰を上げ、アスナを追いかけていく。
店のドアを開けあたりを見回すが、アスナもその前の男も姿は見つけられなかった。
路地裏の方に回ったのかもしれない。
すぐ横の裏路地に入り込もうとしたところで、後頭部に張り付くような視線を感じた。
気になって後ろを振り返る。通りを挟んだ7軒ほど先に米粒ほどの人影が見えた。
誰だ、明らかな殺気を出すあれは先に飛び出したアスナでも、ましてや追いかけた紅の騎士でもない気はする。
視線をフォーカスし、朧気な顔を鮮明にしようとした。
カメラの光学ズームのように俺の視点が拡大され、その素顔が暴けようかというまさにその瞬間。俺の目の前をオンボロの馬車を連れたNPCが遮った。
「ぁ」
NPCが通り過ぎた時、向かいの人影は完全に姿を消していた。
気のせいだったのかもしれない。しかし、俺は未だにその方向から視線を外す事が出来なかった。
まだディテールのはっきりしない人影がなんとなくキバオウに見えたのは、気のせいだろう。
そして、その後ろで重なるようにもう一人、プレイヤーが見えたのは……気のせいに違いないのだ。
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