暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−−鼠と鴉と撫子と
23,役者は舞台へと
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そういえばベータ時代に戦った時には索敵スキルに反応しない特殊な能力を持っていた……気がする。

俺は試しに、ステルス能力を秘めた罠を想像してみた。
普通のトラップとは違い、地面の奥深くにヒッソリと設置された漆黒の匣。
普段は眠ったようにその機能を停止しているが、大勢の足並みが一つに重なり大地を揺らした時、ようやく罠に起動のサインがもたらされる。
ゆったりと起動する罠は地表に向けて不気味な振動を繰り返し、やがてプレイヤー達の足元にぽっかりとした孔が穴が開き……

と、ここまで想像したところで俺は先日の出来事を思い出した。
口を開こうとした所で俺よりも早くアルゴが口を開く。

「いや、たぶんないナ。あの道、迷宮区前のフィールドボス攻略パーティが使ったヨ。あの時も万全を期して1レイドで挑んだはずダ」
「それなら私も記憶があります。攻撃力の高いボスだったから重装備のタンクが多い構成だったわ。君の言うように制限があったとしたら、あのときに発動したわよね」

二人の主張はそのまま俺の思ったものと同じだった。もしもあの時ですら発動しない制限をかけているとしたら、それは余りにもピーキー過ぎだ。
デザイナー達とて発動しない確率の方が高いトラップに容量を裂くくらいなら、もう少し別の仕掛けを作り出すだろう。

「じゃあ、あれだ。一定時間で再湧出する新種のトラップがあったってのは?」

「……解放隊がいる場所のトラップの発見の記録はありますか?」
俺は自身のマップログを何枚かオブジェクト化して、目の前に転がした。どれをみても、今回の事件があった付近ではトラップを解除したというバツ印は見つからない。

「じゃあ、移動型のトラップで、位置情報が時々刻々と……」

「もう、まじめに考えてよ」
「ねぇだろ、さすがに」
「検証不可能だナ、そんなノ」

と三人それぞれにキリトの仮定を打ち消した。だけど、もうそれだけぶっ飛んだ意見がない限りこの状況を説明できない。

どうしたものかと四人で顔を見合わせたところで、不意に後ろの方から人の歩く気配がした。
振り返ってみると、全身を赤でコーディネートしたプレイヤーがNPCに勘定をして、今まさに出て行こうとしていた。
他のプレイヤーがこの場所にいたんだなぁと、当たり前の感想を察したのかプレイヤーはこちらの方をゆっくりと振り返った。

外見にはまるで威圧的な所はない。この世界では年長組、それでも二十代半くらいの削いだように尖った顔立ち。
束ねた鉄灰色の前髪が振り返った勢いで僅かになびく。
次の瞬間、俺はその瞳に釘付けになった。真鍮色の瞳からは全てを圧倒する強烈な輝きが宿り、視線をそらすことを許さない。

それはもはや畏怖という言葉が近いだろうか。
圏内だとか装備は並みの物とか、そう
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