ゴルゴンの終焉
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島で暮らし始めて5年ほどたった。
そこでわかったことが幾つかある。
ひとつはほぼ毎日武装した人間がやってくること。
これはホントに面倒だ。
これなら最初に俺に魔眼を掛けようとしたのも納得だった。
そしてもう一つは、
メドゥーサの扱いがあんまりにも酷いということだ。
掃除、洗濯、食事。
これらの面倒は全てがメドゥーサ一人でまかなってきたもので姉二人は我儘な姫のように遊びほうけるだけ。
だが、それも当然かもしれない。
ゴルゴンの三姉妹。
長女 ステンノ
優雅な仕草、溢れる気品、思慮深い言動。どれをとっても理想の女性と言われた女神。
彼女に名前を呼ばれただけで、男はあまりの喜びに我を失い、永遠の忠誠を誓ったという。
次女 エウリュアレ
屈託のない仕草、こぼれるほどの笑顔、無垢な言動。どれをとっても理想の少女と言われた女神。
彼女に名前を呼ばれただけで、男はあまりの名誉に体を震わせ、命を賭した守護を約束したという。
上意の事は世界から得た情報である。
彼女たちは『象徴』持て囃され、崇められる存在。ステージから人間に手を振るのが仕事なのだから。
だが・・・・・・・・・・
俺と匿名希望の妹に言わせれば、ステンノは極度のものぐさ。
好きなコト以外にはトコトン興味がなく、どうでもいい相手には冥府の番犬も震え上がるほど冷酷だという悪女。
さらにエウリュアレは究極の気分屋。くわえてズルい所があり、黙っていれば怒られない、
バレなきゃイカサマじゃなくてよホホホ、でもあとでちょっと自己嫌悪、という小悪魔。
彼女たちは末女のメドゥーサとは違い、よく人間を好んでいた。
島に訪れた男たちを歓迎し、彼らを癒し、新たな冒険に送り出した。
―――――――――――それもとんでもない罠である。
彼女たちはキレイなもの、可愛いものを無条件に惜しみなく愛する。
この二人の悪魔は、確かに人間好きである。
しかし。彼女たちが愛しているのは人間という生き物ではなく、気に入った人間が自分たちの言葉に翻弄され
困惑して破滅する―――――――――――よーするにジタバタするのを見るのが三度の飯より好きなのであった。
・・・・・・・かくして、多くの勇者が彼女たちの犠牲になった。
彼女たちに求愛した勇者は無理難題を押し付けられ、泣く泣く国に帰ったのである。
嗚呼、恐るべし魔性の三姉妹。
ある者は名をあげようと女怪メドゥーサに挑み、石像と化し。
ある者は女神を娶ろうと馳せ参じ、からかい尽くされた挙句死に至る。
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