ゴルゴンの終焉
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りと、怪物化していく手のひらを見つめる。・・・・・・そんなことは分かっていた。
彼にも告白した事だ。今までの姿は仮初で、自分の末路は、醜い怪物なのだと。
――――破滅は約束されていた。
彼女が人間たちの●●を口にした時から、この終わりは決まっていた。
彼女は日増しに育っていった。
まず体が壊れて、次に心が壊れて、最後に在り方すらも崩れていった。
姉たちを守るために、流儀の隣に並ぶために、その為にもっと強くなろうとしただけなのに。
最後には、その人たちすら、自分の巣に棲む邪魔者にすぎなくなった。
『あ―――――――、あ――――――――――』
その結末を、彼女は知らない。
その頃には目も鼻も口もなく、ただ獲物を磨り潰すだけの世界と化していた。
いや、そもそも、これは怪物の凶行であって、怪物になる前の彼女には関係のない事だ。
だから、苦しくはない筈なのに、
『あ――――――、あ――――――――――!』
たぶん、そうだったんだろう、と。
考えるだけで、両目を抉り取りたくなる。
「なんて愚かな妹でしょう――――――――」
怪物の前に、自ら生け贄たちは現れた。
彼女たちは手を取り合って、震える足を懸命に押しとどめて、変わり果てた怪物を見上げている。
「・・・・・・・・いえ、なんて愚かな姉妹でしょう。ここまで守ってもらう気はなかったのだけど。
貴女があんまりにも楽しそうだったから、つい甘えてしまったのね」
上の姉は歌うように。以前と変わらぬ親しみを込めて、怪物に微笑みかける。
「ふん、それは私だけの話よ。
私は諦めが早いから捨て鉢になってしまったけど、私は永遠に純潔を守るつもりだったわ」
下の姉は不満そうに。
そうなってしまった妹を罵りながら、時折、本当に悲しそうに、怪物を見上げている。
「あら、そうかしら?私はなんだかんだ言いながら流儀のことが好きだったはずなのに」
「そんなことないわ!それなら私だって好きだったでしょう?流儀の前では少ししおらしかったわ」
「ええ、そうね。あの人の前ではどうも変な姿を出さないようにって頑張ってたわ。
さぁ、私は認めたわよ。私はどうなの?」
「・・・・・・・・そうかもしれないわね。あいつならって思ってた節もあるわ」
ぎゅっ、とステンノは自身の指を握りしめる。
怖がる自身を勇気づけるように。
大切なものから、決して逃げ出さないように。
――――――生け贄は想う。
人間を憎んだのは自分たちで、妹は決して、彼ら
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