空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
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でも、翔太に手を出せば、彼らは、象が蟻を潰すように簡単に潰されてしまうだろう。
ひぃっ! と悲鳴を上げるカロたちだったが、幸いにして彼女はそれ以上、何もする気配はなく、踵を返すと翔太の下へと戻っていった。それを確認した瞬間、彼らは腰が抜けたようにへろへろと地面に倒れこんでしまう。
彼らは、齢一桁にして、決して触れてはいけないもの、そして、決して逆らってはいけないものが存在することを悟ったのだった。
◇ ◇ ◇
高町なのはは、確かに幸せの絶頂だったのかもしれない。
毎日、目を覚ませば、隣に翔太がいて、毎日、一緒に行動して、毎日、一緒にお風呂に入って、同じベットで眠る。これが、夢ではないか、と思ったことは何度あるだろうか。それが現実だと示すように翔太の手をゆっくりと握ってしまうこともあった。そして、彼の温もりを感じるたびに、『今』が現実であることをかみ締めるのだ。
いつかの約束どおり、翔太とずっと一緒にいられる日々を幸せに思うのだ。
そう、高町なのは幸せだった。幸せすぎて、上機嫌だった。おまけ程度にいる黒い敵がまったく気にならないほどに。だから、だからなのだろう。気が抜けていた、というべきかも知れない。すべてが上手くいっていて、ずっと上手くいくと思っていて。だから、今日と同じ明日が来ると信じて疑わなくて。
―――だから、今の『今』が高町なのはには理解できなかった。
「え?」
ゆっくりと倒れていく身体。流れ出す血、血、血。床一面に広がる紅い液体の絨毯。見開かれた瞳孔は何も映しておらず、ただ虚空を見つめていた。
その様子を見ていた周囲から悲鳴が聞こえる。叫び声から、倒れた彼を心配する声まで様々だ。しかし、なのはの耳にはそれら声は入ってこなかった。脳が処理能力を超えているのだ。大量の魔法を一瞬で処理してしまうほどのなのはの脳が、今の『現実』を一切、理解できていなかった。いや、正確には理解したくない、というべきだろうか。
そう、高町なのはにとっては受け入れがたい現実だった。
―――蔵元翔太が、血を噴出しながら倒れる現実など。
だが、受け入れざるを得ない。確かに現実だった。蔵元翔太が、銃で撃たれて倒れている。それが現実。
「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
それを理解した、受け入れたとき、なのはは叫んでいた。当たり前だ。それはなにはにとっては受け入れてはいけない現実。あってはいけない現実なのだから。
油断。そう、油断といえば油断なのだろう。テロリストも、銃を持っていたとしても、なのはがバリアジャケットを展開し、翔太の一声があれば、一瞬で無効化できる相手なのだ。だからこそ、翔太が「様子を見よう
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