空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
[6/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ら、翔子は、プレシアがいた病室を後にした。今度は、翔子が振り返ることはなかった。
◇ ◇ ◇
カロ・フォッスードは、一言で言うとむしゃくしゃしていた。
理由は、語るまでもない。目の前で、近所に住んでいる知り合いの女の子達に楽しそうに教えている男子―――名前を蔵元翔太といっただろうか―――と連れの女子―――高町なのは―――のせいだ。
カロの両親は、時空管理局の本局に勤めている。魔力というのは遺伝性がある程度確認されている。もちろん、両親が膨大な魔力の持ち主でもまったく魔力を持たない子どもが生まれることもあるし、その逆も然りだ。
幸いにしてカロは、両親の才能を受け継いだようであり、若干、時期が遅かったものの魔力に覚醒した。地域で行われる簡易の魔力検査でリンカーコアが発見されたのは、つい最近。しかも、この年の魔力ランクとしては破格のAランクである。両親共々に喜んだ。
カロも、自らの才能に自信を持ち、魔力に覚醒した者達が全員受ける初心者講習でも、おそらく一番に、ヒーローになれる、と、そう思っていた。
しかしながら、彼の願いは、希望は思わぬ形で覆ることとなる。
管理外世界から来た蔵元翔太と高町なのはだ。蔵元翔太は、カロと同じく魔力ランクA。彼だけならば、まだカロの面目も保たれただろう。しかしながら、もう一人の女子は、魔力ランクS+という規格外の魔力を持っていた。初心者講習の主役は彼女がすべて掻っ攫っていた。
しかも、話を聞くに彼女は初心者講習に参加しているにも関わらず魔法が使えるらしい。知り合いの女の子達が帰りのバスの中で言っていたのをこっそりと聞いた結果だ。それは、どうやら蔵元翔太も同じらしく、彼も魔法を彼女達に教えていた。彼女達の噂では、「翔太くんがいてラッキーだったね」「どこかの男子とは大違いね」などと言っていたのをこっそりと耳にしたのだ。
気に食わなかった。本来の立場を取られ、魔法も使える彼らが。しかも、聞けば出身は管理外世界という田舎らしい。そんな田舎者が、お膝元というべきミッドチルダ出身の自分を差し置いているのが、もっと気に入らなかった。
だから、ちょっと、調子に乗っている彼に対して、ちょっかいをかけようと思ったのだ。
別に怪我をさせるつもりはなかった。何か危害を加えるつもりもなかったのだ。魔力の発現だけができるようになり、精々ボールが軽く当たった程度の衝撃しか出せないことも分かっての行動だった。ちょっとした嫌がらせ、それ以上でも、それ以下の意味も持たない他愛ない悪戯のつもりだった。
―――少なくとも彼にとっては。
他の仲間ともいえる二人とタイミングを合わせて、彼が後ろを向いているときに、ようやく出せるようになった魔力の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ