空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
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していたアリシアも次第に、笑顔を見せ始め、饒舌に話し始めた。
質問は翔子が知っているだけでも、多岐にわたっている。私生活のことや過去のことなどだ。私生活のことや最近の出来事はアリシアは笑顔で話している。しかし、過去については、忘れた、と言って答えようとしない。いや、答えられないのかもしれないが。
医者は、アリシアがそう答えるたびに手元の用紙に何かを書き込んでいた。
まるで、面接のようだ、と傍から見ていれば思う。しかし、それは間違いではないのだろう。検査なのだから。アリシアの無罪を証明するための面接。アリシアはそんなことはまったく知らない様子だったが。
医者が質問して、アリシアが答える。そんなやり取りが四十分ほど続いた。
「う〜ん、大体、分かったよ。それでね、アリシアちゃん。最後に一つだけ聞いていいかい?」
「うんっ! いいよ」
そのまま、医者は、ずっと浮かべていたまるで、能面のような笑みのまま、問う。
「―――君は、フェイト・テスタロッサかい?」
「………あ、え?」
そのときのアリシアの表情は、すべてが抜け落ちたよな表情をしていた。何を問われているか理解できていないといったような感じの表情だった。それに追い討ちをかけるように医者は問いを続ける。
「プレシア・テスタロッサが、研究していたプロジェクトFの残滓として作られた少女。それが君じゃないのかい?」
「……ち、ちがう」
その否定の声は、か細く小さい。アリシアの腕は、自然と自分を守るように肩へと回っていた。翔子は、フェイトのこの症状を知っていた。最初に家に来たときに起こした症状とほぼ同じだった。だから、翔子は気がつけば、駆け出していた。
「本当に? 君は、アリシア・テスタロッサの記憶が刷り込まれた―――贋物じゃないのかい?」
「ちがう、ちがう、ちがう、ちがうちがうちがうちがうちがうっ!!」
首を振りかぶりながら、アリシアはそれが幻聴でも言いたげに否定に否定を重ねる。それを決して受け入れられないという風に。
一歩、遅かったか、と思いながらも駆け出した翔子は、まっすぐアリシアの下へと駆け寄ると、すぐにアリシアを抱きしめた。こういう症状に陥ったフェイトを落ち着かせるには抱きしめるのが一番だと経験から知っていたからだ。
「か、母さん? 私は……私は、蔵元アリシアだよね? 贋物なんかじゃないよね?」
涙声で問いかけてくるアリシア。よほど不安だったのだろう。だから、翔子は安心させるようにアリシアの頭を撫でながら、耳元で安心させるように囁く。
「そうね。あなたは、アリシアちゃんで、私の可愛い娘よ。だから、安心しなさい」
「うん……」
翔子の言葉に安心したようにアリ
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