空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
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、という鈍い音共に、顔色、眉一つ動かすことなく、仲間の腕を折った。
それからは、阿鼻叫喚の地獄だ。冷や水を浴びせたように静まり返る周囲。その分、折られた男の悲鳴だけが、やけに響く。脂汗と痛みと恐怖からの涙と鼻水にまみれた男の表情。大の男が、テロリストが、と思うが、それを躊躇なく、顔色一つ変えることなくやる女性に戦慄した。
人を傷つけるという行為は、少なからずストレスを与えるはずだ。だが、彼女は作業のように次々と悲鳴と腕の骨を折られた仲間を量産していく。
―――まさか、拷問部隊?
管理局の裏組織とも噂される。自分達のようなテロリストから情報を聞き出すための組織があるという。そこでは、非人道的な手段すら使われるという。まさしく、彼女の所業が拷問といわずしてなんという。目の前に同じ釜の飯を食った仲間が苦悶の表情で倒れているのだ。次にああなるのは自分か、と思わせるのが狙いか。しかし、彼女は何も聞かない。ただ、作業のように続ける。
量産される苦悶の表情と悲痛の声。特に銃を持っていた連中は酷い有様だ。顔を殴られ、銃を持っていた指は折られ、手の甲は粉砕され、二の腕は折られる。もはや使い物にならないだろう。いや、たとえ、戻ったとしても、正常に動くか疑問である。
「ああああ、あんたっ! な、なにが目的だっ! 何でも応えるっ! 喋るから、もうやめてくれっ!」
勇敢な誰かが、制止の言葉を口にする。その声に一時だけ、停まる。そして、その言葉を発した男のほうを見ると、一言だけ口を開いた。
「何もない」
その返答に驚く男。ならば、なぜこんなことをやっているのか? 意味が分からなかった。それは、勇敢な男も同じだったのだろう。
「だったら、どうしてこんなことをするんだっ!? あんた、管理局の人間じゃないのかっ!?」
その応えも実に簡潔だった。すべてを見下すような、人としてみていないような瞳でこちらを見ながら一言だけ応えた。
「ゴミ掃除」
そう、彼女は確かに言った。ゴミ掃除だと。ゴミとはつまり、自分達のような人間だろう、と。そして、掃除というのは、おそらくこのような活動が二度とできないようにすること。確かに、それが彼女がやっていることとすれば、それは間違いなく果たされているだろう。この場にいる誰もがこんな目に二度と会いたくないと恐怖を刻み込まれているのだから。
やがて、女性は作業が終わったように動きを止めた。男は、幸いにして通信係だったので、銃を持っていなかったため、被害からは間逃れた。
これで終わってくれたのか、とほっ、と息を吐いたのもつかの間、女性は空へと浮かぶ。
―――今度は何をするつもりだ?
その答えはすぐに出た。なぜなら、彼女が掲げた杖の先に彼女の身長をは
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