空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
には、ほぼ無傷となった翔太の姿があった。顔色も先ほどまでとは異なり、血が通っているように紅く、呼吸も確認できる。
ほっ、と息を吐いたなのはは、すぐに翔太を外で待っているであろうクロノの下へと転送した。ついでに、人質となっていた客たちも。本当ならずっと翔太についておきたい。しかし、それはできなかった。なのはにはやらなければならないことがあるからだ。
「ゴミを掃除しないとね」
そう、ゴミ掃除だ。翔太に危害を加えるなど、畜生にも劣る。なのはは一分の疑いもなくそう思っていた。だからこそ、掃除が必要だ。もう二度とゴミが翔太に手出しをしないようにしっかりと掃除しなければならないとなのはは思った。
『All right! My master. JS system set up serial I to X.』
レイジングハートがジュエルシードによって作られたシステムを起動し、なのはが光に包まれた次の瞬間には、なのはの体躯は少女から女性へと変わっており、バリアジャケットも純白から漆黒と真紅のものへと変わっていた。
「いくよ、レイジングハート」
容赦というものを微塵も持っていない魔法少女が、天誅を下すために動き出した。
◇ ◇ ◇
俺は一体、いつ地獄に来たのだろう? とテロリストと呼ばれていた男は自問した。
確かに、胸を張ってあの世に逝けるようなことはしていない。そういう自覚はあった。しかし、この地獄はありえない。
「ぎゃぁぁぁぁっ!」
また一人、仲間だった男が悲鳴を上げる。銃を持っていたはずの右手は、ありえない方向に曲がっており、さらに曲がった腕を地面に叩きつけると手の甲を踏み砕く。ゴリッという何かが砕けるような音がして、また男はこの世ならざる悲鳴を上げた。
魔法が支配する世界から解放を、そのスローガンを胸にテロ活動をしていた男は、今日の作戦に参加していた。目的を果たせば、人質を解放して、いくつも設定された逃走ルートから逃走。いつものやり方だった。
だが、今日は時空管理局の奴らに突入を許し、あまつさえ戦闘になっている。その戦闘の最中に突然、転送がかけられ、しかも、気が付けば、ショッピングモールの屋上で、さらに、バインドで拘束された。それは誰も彼もが同じことだ。
唯一、拘束されていないのは、一人、ぽつんと立つ女性だけ。おそらくデバイスと思われる杖を持った気味の悪いバリアジャケットに身を包まれた女性。この仕掛けが彼女の仕業だということは、容易に想像できた。
彼女を認識した瞬間、怒声と罵声をはく仲間たち。自分もその一人だった。しかし、彼女は顔色一つ変えることなく、逆に罵声を浴びせていた一人に近づくと、躊躇なく、その手を取り―――折った。ばきっ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ