空白期(無印〜A's)
第二十六話 裏 (翔子、カロ、なのは、テロリスト)
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その愛機を呼ぶ声は、叫び声のような、泣き声のような声だった。いや、実際は涙声も入っていたかもしれない。応えてくれない愛機になのはは嫌な予感がして、それでも、レイジングハートなら、レイジングハートなら何とかしてくれると思って、愛機の名を呼ぶ。
何度も、何度も、何度も。
やがて、ようやくというタイミングでレイジングハートが応えた。
『―――Too late』
―――遅すぎた。
その言葉の意味をなのはは理解できない。理解したくない。なのははその現実を受け入れられない。なぜなら、翔太がいる現実こそがなのはの現実であり、翔太が●●だ現実は、なのはにとって現実でないからだ。
「ねえ、ショウくん、起きてよ。ショウくん、ショウくん、ショウくんショウくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくんしょうくん、しょうくんっ!!」
何度も、何度も、何度も彼の名前を呼び、彼の血まみれになった肩を揺する。血の海に沈んだ手を取るが、いつかのような温もりはなかった。彼は応えない。彼の目はなのはを見ない。彼の口からはなのはちゃん、と名前を呼んでくれることもない。何もかもが虚無だった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
いくら叫ぼうとも、いくら泣き叫ぼうとも、いくら現実を否定しても、目の前にある状況は変わらない。
―――そう、通常の手段では。
「ねぇっ! ショウくんっ! なんでもいいっ! どうでもいいっ! こんな世界も、何もかもどうなってもいいっ! ショウくん、笑ってよっ! 私を見てよっ! お話してよっ! 私を褒めてよっ! ずっと一緒にいてよっ! 名前を呼んでよぉ……」
なのはの目から涙が流れる。その雫は、頬を伝い、顎から葉の雫のようになり、やがて水滴となって彼女が握る愛機―――レイジングハートの宝石の部分へと落ちる。なのはの涙が、レイジングハートの宝石部分に落ちた瞬間、レイジングハートの宝石が急に光りだした。
『OK! Master's desire is my desire!』
突然、レイジングハートの全体が蒼く輝く。その蒼い輝きはなのはは覚えている。レイジングハートに内包された21個のジュエルシードが放つ光だ。翔太の状態にすっかり忘れていた。
そう、そうだ、自分にはまだこれがあったのだ。
―――願いの叶う宝石『ジュエルシード』
今のなのはが願うことはたった一つだけだった。
「ショウくんを助けてっ!!」
少女の願いに応えるようにレイジングハートが蒼く蒼く輝く。その光がショッピングモール全体を照らしたかと思うと次の瞬間には光は収まり、光が収まった後
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