空白期(無印〜A's)
第二十六話 結
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てきたからだ。後ろ手に縛られた手首も段々、痛くなってきたし。しかし、クロノさんの口から語られた言葉は、半分だけしか僕の期待にはこたえてくれなかった。
『救助の準備ができたんだ。だけど、少し問題があってね。8つのブロックに人質が別れているんだが、位置的な問題で、すべてを同時に制圧するのが無理そうなんだ。いや、むしろ、一気に制圧されないように場所を選んでいるというべきか』
これほど用意周到に計画を練っている彼らだ。その可能性も否定する事ができなかった。しかし、それは悪いニュースだ。さっき考えたように、この事件では、一気に制圧できないことは、この事件による被害者を増やす原因になってしまう。できるだけ、同時に制圧しなければならない。
『そこで、非常に心苦しいお願いなんだが、君達でその区画の制圧をしてもらえないか?』
クロノさんが本当に申し訳なさそうに口にする。元来であれば、自分達の仕事だろうに僕のような子どもに頼るしかないのだから、口惜しさも一入だろう。自分の仕事に誇りを持っていそうなクロノさんが、お願いするのだからよっぽど切羽詰っていることは容易に想像できた。
『でも、僕は魔法が使えませんよ』
AMFがある限り、僕は魔法が使えない。僕が使える魔法の中で制圧のために役立ちそうなチェーンバインドさえ、このAMF環境下では、発動することすら難しいだろう。いや、たとえ、発動したとしても名前の通りの鎖の強度を保てるとは思えない。
『ああ、それは大丈夫だ。AMF発生装置は、恭也さんが壊してくれることになっている』
『それは―――』
恭也さんの名前を聞いて、少しだけ驚いた。いや、確かに僕は四月の事件で恭也さんのことは知っている。あのジュエルシードが取り憑いた化け物に対して一歩も怯まなかったのだから。ただ、それが銃を持ったテロリストに通用すかどうか疑問だ。なにより、数の問題がありそうだ。一対多数になるだろうが、大丈夫だろうか。
しかし、僕がそんなことを考えても仕方ない。なにより、恭也さんが自分ができないことを安請け合いするような人には見えない。恭也さんができるといえば、できるのだろう。
『分かりました。なんとかしてみます』
いいよね? という意味をこめて、なのはちゃんの目を見ると、彼女は、コクリと静かに頷いてくれた。
魔法が使えるのであれば、僕でも彼らを相手にすることは可能だろう。いや、そもそも、よくよく考えれば、なのはちゃんがいれば、彼らぐらいなら簡単に制圧する事が可能だろう。もっとも、ただ見ているだけというのは、みっともないので、僕も加勢はするが。
『タイミングは、僕が知らせる。最初に陽動部隊が突入するから、その隙を突いてくれ』
クロノさんなりの配慮なのだろう。確かに、ど
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