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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十六話 結
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ような光景なのかもしれない。そんな事がありえるのだろうか。そんなに大規模な組織があるのか。

 分からない。情報が足りなすぎた。ここが不慣れな魔法世界であることも起因しているのだろうが。常識的に通用しないのだから。

 僕たちの拘束を終えた彼らは、やがて僕たちを三角形のように囲むようにして僕たちを見張り始めた。もちろん、彼らの人差し指は、拳銃の引き金にかかっている。いつでも、対応できる様にだろう。彼らの行動に対して、縛られている周囲の反応は、どこか落ち着いていた。いや、確かに恐怖に怯えているような感覚はあるのだが、それだけだ。パニックに陥って、暴れるような真似はしていない。

 テロリスト達も先ほど宣言したように静かにしていれば、僕たちに危害を加えるつもりはないようだ。彼らの目的が、殺人ではない以上、不用意に僕たちを手にかける理由はないからだろう。人が人を殺すというのは、かなりの精神的な負担だ。普通は、よほどの事がない限りは、人が殺すという手段に手を染めることを忌避する。

 しかし、人質になった僕たちは騒がず、テロリスト達も、彼らは、僕らの監視役なのだろう。特に何かを話すこともなく、僕たちを見張っている。時折、リーダー格の男性が、無線機のようなもので、「特に問題なし」という定時報告のようなものを行っているぐらいだ。

 つまり、端的に言えば、暇なのだ。彼が危害を加えるつもりがないということが分かっているので、特に怯えることもなかった。

 そうなると、自然に考えてしまうのは、外の状況だ。彼らの目的は強盗のようなお金目的とは思えない。なにより、防火扉で密室の状況を作り出すほどの計画を立てている彼らだ。目的は、何らかの主張だろう。ならば、必ず、外には何らかの呼びかけを行っているはずである。

 もっとも、日本では、テロリストなどまったく出会うことがないことから、これはフィクションで作られた予想でしかない。ショッピングモールを囲むように警察が部隊を展開しているのだろうか。ああ、僕たちがここに来ていることは、母さんとアリシアちゃんも知っているのだ。心配していなければいいのだが。といわれても、テロリストに占拠されたデパートにいることを知っていて、心配しない親などいないだろうが。そういえば、一緒に来ていた恭也さんは無事だろうか。

 色々なことを考えるうちに、外の様子が知りたくなった。動けない現状では無理だ。携帯電話は、確かにエイミィさんが少しだけ改良して、使えるようにしてくれたけど、この状況で携帯を開けるわけもない。携帯も開かず、外と連絡を取る方法なんて―――ああ、そうか、あるじゃないか、一つだけ。外と連絡を取る方法が。

 僕は自分が、どうしてこの世界に来たのかを思い出した。

『クロノさん、聞こえますか?』

 僕は、
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