空白期(無印〜A's)
第二十六話 結
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ういうとき、誰かはパニックになってもおかしくないのだが、全員が何かを諦めたような表情をして、淡々と指示に従っていた。
その場にいた全員が地べたに座った頃、店の中から数人がぞろぞろと出てきた。たぶん、十人ほどだろうか。後ろには、やはり拳銃で脅すように銃を突きつける男性の姿がある。しかも、二人も。そうだ。ここはショッピングモールであり、店が並ぶ場所だ。当然、通路以外にも店の中に店員や客がいてもおかしい話ではない。そのために、彼は一人、ここで騒ぎを起こしたのだろう。だから、仲間は、三人だったようだ。
「これで、全員か?」
「はい。店の中の確認はしました」
「そうか、では。手はずどおりに」
ショッピングモールの通路で最初に拳銃を放った男がリーダーなのだろう。上司に報告するように店の中から出てきた男性が報告すると、それにいちいち頷くと次の手順が決まっているのか、次のフェイズに動くように指示していた。
「ほらっ! 手を出せ」
部下と思しき彼らは、どうやら僕たちを拘束するつもりらしい。ただし、縄などではない。パソコンのケーブルをまとめるためのプラスチックのバンドといえば分かるだろうか。そのようなもので人質となっている僕たちの手首と足首をしっかりと拘束する。縄であれば、解けるかも? と思えるが、意外とこれは、外れにくい事がわかった。しかも、通路のど真ん中だから、ドラマのようにガラスで切るようなこともできない。
彼らは、そのプラスチックのようなバンドを使って人を拘束することに慣れているのか、あるいは、訓練でもしているのか、手際よく拘束していく。なのはちゃんは、自分が拘束されるときに、何かを期待するように僕に視線を向けてきたが、僕は、それに対して首を横に振った。
確かに縛っている彼らは、拳銃を手にしていない。しかし、リーダー格の彼は、こちらをしっかりと警戒して、拳銃から手を離していない。なのはちゃんが強いのは分かっている。もしかしたら、一発で彼らを制圧できるかもしれないが、ほぼ同時というのは賭けに近いだろう。ならば、勝機を待つべきだ。ベットするのは自分の命になるだろうから。
大人しく僕がプラスチックのバンドで縛られている頃、リーダーの男性は、無線のようなものを取り出していた。
「こちら、C65ブロック。制圧を完了した」
無線の向こう側にいるのは、仲間だろうか。しかも、ブロックごとに区切っているということは、僕たち以外にもこうやって制圧された区域があるのだろう。いくつの区域が同じような目に会っているのだろうか。防火壁が降りているが、完全に隔離されたわけではないだろう。防火壁には小さな扉があり、そこから隣に移動できるのだから。いや、そもそも、このテロの規模すら分からない。もしかしたら、全区域で同じ
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