空白期(無印〜A's)
第二十六話 結
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耳に響くビチャッという音。その液体は、ほんのりと生暖かかった。
うつ伏せになった僕の視界は、赤い、紅い世界を見ており、同時に僕の意識が逸れたからか、結界魔法が解除されるのを見えた。
ああ、もう一回張りなおさないと。
そうは思うが、身体が動かない。ショッピングモールの中は一定の温度に保たれているはずなのに、まるで極寒の中にいるような寒気を感じる。意識がはっきりとしない。考えがまとまらない。
おい、坊主っ! という声や誰かっ! 誰かっ! という悲鳴が聞こえるが、意味を理解することはできなかった。
ただ、僕が薄れゆく意識を完全に絶つ前に最後に覚えているのは――――
「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
――――なのはちゃんの搾り出すような叫び声だった。
◇ ◇ ◇
「ん……ここは?」
「おや、気づいたかい?」
僕が意識を覚醒させると、いつの間にかまったく知らない場所へと移動し、どこかのベットで横になっていた。しかも、着ている服が病院服とでも言うのだろうか、簡単に脱ぎやすい服に変わっていた。
しかも、隣から聞こえたのは、クロノさんの声だ。一体どうなっているのか、まったく頭の整理が追いつかない。僕は事情を聞くために起き上がろうとしたのだが、クロノさんは、苦笑しながら、それを手でとどめた。
「いや、起き上がらなくてもいいよ。というよりも、その状態じゃ、起き上がれないだろう?」
そういわれて、クロノさんが視線を移す両サイドに視線を向けてみると、僕の右手を握るようにして腕を枕のようにしてなのはちゃんが、左手には、同じような格好をしてアリシアちゃんが寝ていた。
なるほど、確かにこのままじゃ起き上がれないな。
仕方ないので、僕は横になったまま事情を聞くことにした。僕が覚えているのは、ショッピングモールでテロリストを制圧したところまでだ。あの後は、いろいろ記憶が混濁していて意味が分からない。
「それに、君は質量兵器で撃たれたんだ。検査では異常はなかったが、安静にしたほうがいい」
「撃たれた?」
「おや、覚えていないのか? まあ、あれだけ失血していたら意識も朦朧としているか」
僕が覚えていないことに納得しながら、クロノさんは、事の顛末を説明してくれた。
どうやら、僕がテロリスト三人を制圧した後、人質の中に紛れ込んでいたもう一人のテロリストに撃たれたらしい。らしいというのは、クロノさんが現場に到着したときには、すでに僕の怪我は治っており、人質だった人たちの証言だけが頼りだったからだ。人質だった人の証言によると、白い子どもの魔導師が青白い光で治していたらしい。
その光の原因は不
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