空白期(無印〜A's)
第二十六話 結
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彼女は、素朴な疑問のようにきょとんとした表情で、僕に答えを求めてくる。
さて、どうしたものだろうか。残念ながら、僕の経験則の中にテロに遭遇したときの対処法はない。例えば、事故にあったなら、救急車を呼ぶ、警察を呼ぶという対処は知っていても、テロの対処法は分からない。考えられる限りでは、警察―――ここでは、時空管理局を呼ぶ、という手段が考えられるが、それが正しいのだろうか。
例えば、強盗にあったときの対処法としては、犯人を刺激するべきではない、と言われている。むしろ、小額でも良いから金を素直に渡したほうが被害としては少ない事がある。つまり、今回も下手に刺激するべきではないのだろうか。少なくとも、今すぐにでも殺されそうだ、という状況ならば、考えるが、現状を鑑みるにその可能性は低そうだ。
彼らがテロリストということは、彼らは誰かに何らかの要求があるのだろう。僕たちはそのための人質だろう。ならば、下手に騒ぐよりも大人しく従ったほうがよさそうだ。なにより、防火壁の向こう側が分からない。魔法を使えば、彼らを倒すことは不可能でも、拘束することは可能だろう。僕でも、チェーンバインドで拘束することは可能だ。
もっとも、それはテロリストが彼ひとりの場合だ。もしも、このお客さんの中に混じっていたなら、僕には分からない。一人が、目立つように行動し、もう一人は、隠れて行動する。防火壁で遮られているとはいえ、ここに集まっているのは、二十人ほどは確実にいるのだ。もしかしたら、僕たちのように魔法が使える人間もいるかもしれないのだ。それを考えるとやはり一人で制圧というのは、若干厳しいと思う。
「ちょっと様子を見ようか」
「うん、分かった」
今すぐ危害を加えられる危険性がない以上、その様子見が最初の一手になるだろう。なのはちゃんは、僕の意見に納得したのか、あるいは、最初から僕の意見に従うつもりだったのか、間髪いれずに肯定の意を示した。
「言うことに従えば、危害を加えることはしない」
僕たちがこれからの方針を決めたところで、改めて、拳銃を持った男が口を開いたと思うと、拳銃でこちらを脅しながら、僕が先ほど予測したようなことを口にした。その後は、防火壁で遮られた区画内のショッピングモールの道を歩いていた客たちを、一箇所に集め始めた。集める場所は、通路の中心部で、周りにほとんど何もない場所だ。雑踏とした場所では、逃げ出そうとしたときや、下手に動くものがいても分からないからだろう。
中心部に僕たちを集めた彼は、地べたに座るように言う。文句を言うものは誰もいなかった。当然といえば、当然なのかもしれない。相手の手に握られているのは、軽く引き金を引いた程度で命を奪える代物なのだから。しかし、意外だったのは、誰もパニックにならないことだ。こ
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