空白期(無印〜A's)
第二十六話 起
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は、アリシアちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんだ。アリシアちゃんは、妹であるため、といういいわけは立つが、アリサちゃんとすずかちゃんはアウトだった。彼女達とは、あくまで友達という関係だからだ。しかも、あの時は家族風呂で他に誰もおらず、アリサちゃんの招待だったから、という名文があった。つまり、何が言いたいか、というと、このときも何かの後押しがあれば、僕はなのはちゃんと一緒にお風呂に入ってしまうだろうということだ。
そして、その後押しは―――僕からしてみれば、裏切りにも近い発言は、一番近い家族からだった。
「あら、いいじゃない。一緒に入ってきなさいよ」
ここのお風呂、家よりも広いわよ〜、と実に暢気に言ってくれる。もっとも、母さんからしてみれば、僕たちは小学生で、恥ずかしがる理由もないのだろうが。しかも、母さんの発言を受けて、なのはちゃんの表情には喜びの表情が浮かんでおり、今ここで、僕が難色を示せば、彼女はがっかりしてしまうだろう。
はぁ、仕方ないか、と昔なら頑なに拒否したであろう事項を受け入れることにした。過去二回と最近のアリシアちゃんと一緒にお風呂に入ったことで、このことに関してはハードルが下がったのかもしれない。
「それじゃ、一緒に入ろうか」
諦めて、僕がそういうとなのはちゃんの表情は、花が咲いたような笑みになり、うん、うん、と何度も頷く。さて、そうと決まれば、準備をしなければ、と思ったところで、不意に袖が引かれた。
「アリシアちゃん?」
僕の袖を引っ張ったのは、アリシアちゃんだ。袖を引っ張られて、反射的に振り向くとそこには玄関と同じようにふくれっ面をしたアリシアちゃんがいた。今度は何に怒っているというのだろうか。
「ずるい」
「え?」
「なのはだけ、お兄ちゃんと一緒にお風呂に入ってずるい」
「いや、ずるいといわれても……」
今日、一緒に入るようになったのは偶然だ。ずるいといわれても仕方ない。さて、どうやって返答しようか、と考えているところで、オオカミモードで床に寝そべっているアルフさんが何気なしに言う。
「だったら、明日は翔太がアリシアと一緒にお風呂に入ればいいじゃないか」
「それだっ!!」
それだっ! じゃないだろう、と僕は思うのだが、彼女が賛成してしまった今、反対することはできないのだろう。いや、ここで反対しても話がこじれて、最終的には僕が折れることになるのは今までのパターンどおりだ。だから、僕にできることは、がくっ、と肩を落として、さらに肩を落とすことになるお風呂場へ、死刑執行の囚人のように向かうことだけだった。
◇ ◇ ◇
お風呂の時間は意外とあっさりと片付いた。一緒に入るとは言っても、本当に一緒に入る
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