空白期(無印〜A's)
第二十六話 起
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隼人との将棋だっていくつも同時に手が数えられるようになったし、今では積分も暗算でできるようになるという算盤少年も驚きのスペックになりつつあるのだが、それでもなのはちゃんには到底適わないだろう。
もしも、僕が彼女のようなパフォーマンスができるようになるとすれば、一体何年の間、魔法の技術を研磨しなければならないだろうか。
だが、僕の賞賛の言葉に照れていたなのはちゃんだったが、僕の言葉を聞いて一瞬で、顔色を変えた。今までの照れているような顔ではなく、不思議と真面目な顔だった。
「そんなことない。ショウくんなら絶対できる」
「そう……かな?」
僕の問いかけに、なのはちゃんは一瞬も逡巡することなくコクリと頷いた。
なのはちゃんが何を根拠にそういう風に断言しているのか、僕には分からない。しかしながら、不思議と他人からそういう風にできるといわれると弱気だった自分に活が入れられ、できるようになるから不思議だ。先ほどまでは弱気だったにも関わらず、今は、もうできるかも? と思えるのだから。
「私もがんばって教えるから。ね?」
「うん、そうだね。頑張ってみようかな」
もしも、なのはちゃんのように魔法を自由に操れたなら、それはきっと面白いことだろうから。なのはちゃんの言うとおりに少しだけ頑張ってみることにした。
それから、なのはちゃんとレイジングハートの元、数時間ほど魔法の練習をした。何度もなのはちゃんと練習した事があるけれども、今日ほど身になったことはないだろう。最初と比べて自分でも上達したと思えるのは久しぶりだった。それは、最初になのはちゃんのパフォーマンスを見たからなのか、あるいは、魔法の世界に来たことで高揚している気分のためか、僕には分からないことだ。
しかし、僕が上達したことを自分のことのように喜んでくれているなのはちゃんを見ていると、どちらでもいいか、と思えてしまう。
さて、魔法の練習も僕が先に疲れ果てて、切り上げることにした。なのはちゃんは少し物足りなさそうだったが、僕が疲れていることを分かってくれたのか、切り上げることに対しては、何も言わなかった。それから、なのはちゃんと話をしながら、あてがわれたマンションに戻ってみれば、玄関でパジャマに着替えたアリシアちゃんが出迎えてくれた。
僕が学校から家に直帰せず、アリシアちゃんが僕よりも早く家に帰ってきた際は、いつもやられるタックルはここでも健在だった。家なら身構える癖ができていたのだが、場所が変わって気が緩んだのか、まったく予想だにしない一撃にぐふっ、と肺の中の空気が吐き出されたが、かろうじて後ろから入ってくるなのはちゃんに被害がいかないように踏みとどまる事ができた。
「お兄ちゃんっ! 遅いよっ! もうお風呂入っちゃったよ
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