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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十五話 裏 (アリサ、すずか、なのは)
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かというとアリサのような白人に近い。しかも、夜の一族の血を色濃く継いでいるはずの自分の容姿に負けず劣らずの容姿だ。

 彼女の義理の妹と容姿に対してすずかの中の恋心が警鐘を鳴らす。彼女のような存在が、四六時中、妹として一緒にいるのだ。乙女としては警戒しないほうが無理だといえる。しかしながら、ここで敵愾心丸出しというのは、翔太の心証にいいとは到底思えない。何より、すずかとアリサを認識して、雨の中捨てられた子犬のように震える彼女―――蔵元アリシアに真正面から敵愾心丸出しで相対しようとは到底思えない。

 だから、怯えているような彼女を安心させるように優しい声で、しかし、どこか釘を刺すような言葉ですずかは声をかけた。

「アリシアちゃん……でいいかな? 私は、月村すずかよ。ショウくん―――あなたのお兄さんの友達よ」

 ここでアリシアと仲良くなることはメリットこそあれ、デメリットはない。むしろ、仲良くできないほうが問題だ。翔太が陰口を叩くとは思えないが、それでもアリシアが、もしもすずかのことを嫌って、それを翔太に言えば、すずかの印象は多少とはいえ、悪くなってしまうだろう。だから、すずかは、敵愾心はありませんよ、優しい声と微笑をアリシアに向けた。

 それに多少の効果はあったのだろう。アリシアは、まだ様子を伺うようだったが、それでもコクリと頷いてくれた。まだまだ、彼女の心を許してくれるような距離ではないようだが、少なくともその切っ掛けはつかめたと思うべきだろう。

 その後、アリサも多少乱暴な態度だったが、自己紹介を済ませ、全員で蔵元家のリビングへと向かう。まだ、アリシアは警戒心を解いていないのか、翔太に抱きつくような格好だ。いい加減にしろ、とは思うが、それを表には出せない。何せ翔太からみれば、アリシアは妹なのだから。少なくとも態度では、彼女を女の子として意識しているような仕草は見えなかった。それに少しだけ安心し、すずかは、リビングのテーブルに座る。

 翔太の母親に挨拶を交わし、しばし歓談のときという感じで、その話の中でアリシアの編入の話が出た。その話の中で、アリシアは、翔太と同じ教室になれることを望んでいるようだが、それは現実的ではない。普通の学校なら、可能性はあっただろうが、聖祥大付属小学校は、完全な成績順だからだ。

 しかし、アリシアは翔太と同じクラスになれない事がよほどショックだったのか、暗い声で俯いてしまう。その様子を見て、すずかは慌てて、フォローに回った。

「で、でも、クラスは、成績順だから、アリシアちゃんの編入試験の成績によっては、同じクラスになれるよ」

 しかし、そのフォローはあまり効果がなかったようだ。当然といえば、当然の話だ。翔太が所属しているのは、第一学級。三年生の中でもトップ三十人が集うクラスだ
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