空白期(無印〜A's)
第二十五話 裏 (アリサ、すずか、なのは)
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「『恋愛ごっこ』?」
「そう、いくらあの二人が、子どもとは思えないほどに頭がよくてもまだ三年生だもの。恋を考えられるとは思わないわ。まあ、私達は、心身の早熟が早いから、ちょっと早いとは思うけど、すずかのことは間違いじゃないとは思うけど。で、話を戻すと、もしかしたら、恋愛というよりも、恋愛ごっこみたいな軽いものかもしれないわね」
それだけを言うと、忍は、
「だとしたら、あなたにもまだまだ勝ち目はあるわよ」
と茶目っ気たっぷりに言ってくれたものだ。
もしかしたら、とは思うことはあっても、それをあまり本気にはしていなかった。本気にして、実は自分と似たように本当に恋愛について考えられていたら、目も当てられないからだ。少なくとも、アリサと翔太に関して言えば、自分と同じく規格外かもしれない、という考えは到底捨てられなかった。
しかし、自分の恋心を自覚して、今のアリサの発言を聞いたすずかは、忍の言葉もあながち嘘ではないかもしれない、と思うようになっていた。いや、そうであってほしいと願っているのかもしれない。もっとも、断定するには、まだまだ、情報が足りないことも事実ではあるのだが。少なくとも希望は持てるようだ、とすずかは思った。
さて、もしかしたら、翔太が転校するかもしれない、なんていう背筋が凍るような誤解によるハプニングはあったものの、翔太には妹がいる、という爆弾発言を受けて、蔵元家へと足を運んでいた。
道すがら、翔太から妹発言の真意を説明してもらうが、なるほど、聞けば聞くほど、どこかの小説にでもなっていそうな物語だ。ヒロインは翔太の妹で、主人公は、翔太だろうか。小説であれば、そこから家族愛をテーマにした話に広がっていくも良し、義理の妹と兄が恋に落ちていく話に転がって行くも良しである。
自らの恋心を自覚してからは、恋愛小説に嵌っているすずかからしてみれば、後者の物語を読みたいとも思うが、主人公が翔太でヒロインが妹では、なんとなく腹が立つ。もっとも、それは自らの想像であり、いくら腹を立てたところで意味のないものではあるのだが。
そんな説明を受けているうちに、蔵元家へと到着した一行。いったい、いつ翔太の新しい妹とは会えるのだろうか、と思っていたが、翔太の妹との対面は意外と早かった。というよりも、到着してすぐだった。
ただいま、と告げた翔太に突撃してくる一つの塊。その塊は翔太に抱きつくように飛びつく。最初は動いていたため分からなかったが、動きが止まれば、翔太をお兄ちゃんと呼ぶ人物の詳細が分かった。翔太の妹―――彼女の容姿は、すずかが想像してものとは、まったく違っていた。
そう、翔太が妹というものだから、すずかは自然と極一般的な日本人の妹を想像していたのだ。だが、彼女の容姿はどちら
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