空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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ている顔を見ると思わず笑いがこみ上げてくる。
「何笑ってるのよっ!」
「ご、ごめん。違うんだ。これは、僕のじゃないんだよ。これは、僕の妹の編入用の書類だよ」
僕の話を聞いて、妹の存在を初めて知ったであろうアリサちゃんとすずかちゃんは、目をパチクリさせて驚くばかり。まあ、それもそうだろう。弟のアキの存在は知っていただろうが、妹の存在は知らず、さらには編入というのだから。
「ちょ、ちょっと! どういうことよっ! アキ以外に知らないわよっ!!」
案の定、アリサちゃんが吼えた。ここで説明しても別に構わないのだが、それでは時間がかかる。なにより、少し込み入った事情なのだ。さて、どうしようか? と考えたところで、いい案が浮かんだ。要するに百聞は一見にしかずなのだ。
「ねえ、今から僕の家に来ない?」
僕の提案にアリサちゃんとすずかちゃんは顔を見合わせて首をかしげるのだった。
◇ ◇ ◇
聖祥大付属小から僕の家の帰り道で、僕はアリシアちゃんについて先生に説明したのと同程度の説明をアリサちゃんとすずかちゃんにした。アリサちゃんもすずかちゃんも、僕の話をまるで信じられず、胡散臭そうな目で見ていたが、何度も言うことでとりあえずは納得してくれたようだ。まあ、無理もない。よくよく考えれば、どこの小説の話だ? というほどの話なのだから。もっとも、本当は、魔法などが絡んでくるためもっとファンシーな話になるのだが、そこまでは説明できなかった。
そんなことを話していると、僕の家の前に着いた。僕が先導するような形で僕は、ただいま〜、という言葉とともにドアを開いた。その後に続く、お邪魔します、というアリサちゃんとすずかちゃんの声。それを確認しながら、靴を脱いでいると、リビングのほうから聞こえてくるドタドタと廊下を駆けてくる音が聞こえる。こんなに走るのは誰だ? と考えるまでもない。この家には、そんな人物は一人しかいないからだ。
「お兄ちゃんっ! おかえりっ!」
「おっと」
流れるような金髪をツインテールにして、翻しながら駆け込んできた速度そのままで僕にぶつかるように抱きついてくるアリシアちゃん。どうやら、温泉に旅行に行ったときからこれが気に入っているのか、僕が帰ってきたときは、抱きついてくる事が多くなった。僕としては、質量がほぼ同じのアリシアちゃんが抱きついてくるのはかなり苦しいものがあるのだが。そこは、兄としての威厳のために耐えるようにしている。
いつものように抱きついてきたアリシアちゃんを離していると不意に背後から視線を感じた。ああ、そうだ。アリシアちゃんを二人に紹介しないといけないな。
「ほら、アリシアちゃん、僕の友―――親友のアリサちゃんとすずかちゃんだよ」
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