空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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を手に再び座った。
「喜べ。お前のせいで、私は学年主任だからな。編入の窓口は私なんだ」
「それは、好都合です」
少し棘のある言い方。まるで、僕のせいで別の仕事が発生したと言わんばかりだ。それは正解なのだろうが。だから、僕も皮肉って返してやると、お互いに顔を見合わせて、はははは、と笑った。
「さて、これによるとだな。編入試験は、夏と秋の二回行われ、どちらかしか受けられない」
「……そうですか」
おそらく、夏の編入試験で落ちた生徒が秋に再び受けられないようにするための処置だろう。しかし、この規定であるとアリシアちゃんは、最速で夏の編入試験しか受けられないようだ。僕の見立てが正しければ、今のアリシアちゃんでも合格しそうではあるのだが。
確かにアリシアちゃんはこの世界に来てから数ヶ月しか経っていない。しかし、日本語の中で平仮名とカタカナは完璧に習得しているし、今は漢字を勉強しているが、記憶力もいい。特に算数は―――いや、数学はすでに高校生レベルまでいっているのではないだろうか。だから、合格する可能性は高いと思っていた。
その可能性があるなら、できるだけ早く試験を受けて、聖祥大付属に入学してほしかった。彼女は、夕飯の後など、僕の話を聞いて目を輝かせているから。おそらく、学校を楽しい場所としてみているのだろう。憧れているのかもしれない。だから、できるだけ早くと思っていたのだが、規則なら仕方ない。夏休みが終わった後、魔法世界のあとのほうがゆっくりしているかな? と色々考えているところで、不意に先生の声が割り込んできた。
「ちょっと待て、但し書きがある」
「但し書き?」
「ただし、以下のものは特別に試験を行う、あるいは試験を行わず編入することができる。1.特別な事情により、学校に通わなければならないもの。2.緊急性を要するもの。以上である」
「アリシアちゃんはどちらかに該当するんですか?」
「まあ、1のほうには該当するだろうな」
確かに、記憶喪失で、戸籍ができて、義務教育が必要であるため、といわれると特別な事情といわざるを得ないのだろうか。しかし、2番目の意味があまりよくわからないのだが。
「2は、おそらく公立に通っている児童がいじめなどが原因で、聖祥大小をセーフティネットで使うためだろうな。だから、『2に該当するものは試験を課さない』、と書かれてるから」
「なるほど」
私立学校であるが故に校区に縛られることはない。しかも、スクールバスまで運行している。少し遠くでも通うことは可能だ。だから、地域のセーフティネットとしては十二分に活用する事が可能だろう。緊急性を要するとは、つまり、すぐにでも転校できる環境が必要ということだろう。
「まあ、本当は、面倒だから夏
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