空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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どな。分かった」
学校は小さな社会とはよく言ったものだな、とポツリと零した先生。僕も同じようなことを考えていた。前世での僕の小学校時代なんて覚えていない。だが、こんなにも深いものだっただろうか? と。大学生までの記憶しかないが、それでも似たようなことはあった。もっとも、僕の付き合いは男が多かったので、女子の暗い部分は噂でしか聞いた事がなかったが。
「それで、結局、蔵元の相談とはなんだ?」
「ああ、そうでした。実は、編入について聞きたかったんですよ」
そう、僕が先生に聞きたかったのは編入のことだ。アリシアちゃんは見た目的には、まだ小学校を卒業しているとは思えない。もっとも、正確な年齢は、今となっては分からない。ちなみに、誕生日は、アリシアちゃんが僕と同じがいいと強固に主張したため、七月の僕と同じ日になっている。年齢も同じくだ。よって、書類上は、僕とアリシアちゃんは双子の兄妹となっているわけだ。
「編入? お前の親戚でも引っ越してくるのか?」
「いえ、僕の妹ですよ」
僕が妹と口にすると、先生は少しだけきょとんとしたような顔になった。当然だ。僕の家族構成の中には、妹なんていなかったのだから。それが、突然小学校に編入するような妹がいるといわれても困惑するだけだろう。
「ああ、思い出した。一度だけ会ったことがあるな。あの訳ありの妹ちゃんか」
「そうです。あの妹ちゃんです」
先生の言い方に苦笑しながら、僕は答えた。しかし、いつまでも訳ありで通せるほど優しいものではないだろう。なにより、入学を考えている以上、ある一定ラインまでは説明しなければならないことは必須だったので、僕は魔法などを省いて少しだけ説明した。
アリシアちゃんを拾ったこと。我が家で保護したこと。今回、正式に養子縁組を行い、書類上も家族になったこと。義務教育が必要で、聖祥大付属に入学を考えていることを話した。
アリシアちゃんに義務教育が必要である以上、今は公立に通っているか? と尋ねられれば、答えは否だ。アリシアちゃんが見た目的にも外国人であることは疑いようがない。よって、役所に相談して公立に通う場合は二学期にしてもらい、現在は自宅で僕の昔の教科書を使いながら日本語と小学校一年生、二年生の勉強をしている。
「それで、どうですかね?」
「ちょっと待て。蔵元妹の学年は?」
先生の問いに僕が同じ学年です、と答えると、ちょっと待て、と言い残して椅子を降りると後ろの棚をガサガサとあさり始めた。え〜っと、これでもない、あれでもない、と次々に書類の入った紙袋を出す先生。もしかして、整理していないのだろうか。およそ、五つほど紙袋の中身を確認した先生はようやく目的のものを見つけたのだろう。あ、これだ、と声を上げると、その紙袋
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