空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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「忘れないでください」
確かに頭脳は大学生レベルだろうが、身体は小学生なのだ。見た目が大事なのは言うまでもない。それに僕には大学生の記憶があるなんて言ったところで、信じてはもらえないだろうし、変人だと思われるのも勘弁願いたい。だから、僕は自分が小学生であることを主張するのだ。
それはともかく、先生の疑念を晴らしておくべきだろう。
「あの子たちのことなら大丈夫ですよ」
「ほぅ、なんでだ?」
少し興味深そうに先生は笑う。どうやら僕の解答に興味があるようだ。もっとも、僕が何かしたわけではないのだが。
隼人君による男子の現状は、僕に味方してくれる子が、大体男子の三分の二程度―――中立も含めばだが。三分の一が僕に反感を持っている子ということになる。しかしながら、反感を持っている子たちの中で、全員がまとめられるような子はいないようで、二、三人程度が三グループあるらしい。二人か三人でできることなど高が知れており、せいぜい僕を無視したり、学級委員長の仕事の足を引っ張るぐらいだろう。前者は、僕から話しかけるような事が少なくなるだけだし、後者は、作業の邪魔―――宿題の提出を渋るなど―――は、自分の成績を落とすだけだ。だから、男子に関しては問題がない。
一方の女子のほうだが、どうやら僕が反感を買ったのは四月の事が大きく影響しているようだ。僕が隣のクラスのなのはちゃんと仲良くした事が、彼女達にとって裏切りに見えたらしい。幸いにして、僕は夏樹ちゃんとは幼馴染で、クラスの中では結構大きなグループのリーダー格なので、女子が結束して、僕に報復をなんてことにはならなかったようだ。それに僕に利用価値があることも幸いしたようだ。確かに算数とかは、最後の最後に難しい問題が出るので、僕がよく教えているけど、まさかそれに救われるとは思わなかった。よって、せいぜい陰口程度で済んだらしい。
男子のほうは少しだけ気づいていたけど、女子はまったく気づかなかった。まさか、彼女達の笑顔の下にそんな暗い部分があったなんて。ちなみに、両方の要素がなければ、女子達は結束して男子も巻き込んで、僕は半ば村八分になりかけていたようだった。げに恐ろしきは、幼いとはいえ、女の子たちの性質だろう。男の僕にはまったく分からないが。
「―――というわけで、女子のほうとも少しずつ改善しているので、まあ、大丈夫でしょう」
夏樹ちゃんのアドバイスに従って、少しだけクラスの女子と話す時間を持つようにした。これで、こちらのグループを優先してますよ、とアピールするらしい。その甲斐あって、少しずつ確執はなくなっているといっていいだろう。といっても、僕が時間を増やしたというよりも夏樹ちゃんの手引きによるところも大きいのだが。あの子は、姉御肌だからなあ。
「ふむ、なるほ
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