空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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うような視線を送ってきたので、僕は、彼女達の申し出を快諾するように言葉を促す。たぶん、僕がやっても同じような形になるだろう。しかし、それではせっかくアリシアちゃんに友達ができそうな機会をきってしまうことになる。それに、学校に編入する前に人になれる必要があるだろう。最初は、手近な人になってしまうが、仕方ない。いきなり見知らぬ人の中に放り込まれるよりもましだろう。
「さあ、ショウの許可は貰ったし、ビシバシいくわよっ!」
「アリサちゃん、あんまり厳しくしちゃダメだよ」
「あらあら、楽しそうね」
僕の許可を貰ったことでアリシアちゃんも快諾したと思ったのか、張り切る、いや、張り切りすぎるアリサちゃん。アリサちゃんの行動を微笑みながら、とめようとするすずかちゃん。そして、急な事態に目を白黒させながらも必死についていこうとしているアリシアちゃん。しっちゃかめっちゃかな状況におっとりとした微笑とともにオレンジジュースが入ったグラスを四つ、お盆に入れて持ってくる母さん。
そんな状況を僕は、苦笑と共に見守るのだった。
◇ ◇ ◇
アリシアちゃんの編入願いを出して、二週間が経とうとしていた。
「今日は、面白いお知らせがある」
朝のショートホームルームの最中、不意に先生がそんな言い方で切り出してきた。同級生達は、なんだろう? と困惑の表情を浮かべていたが、大人しく先生の続きを待つようにしたようだ。
「今日から、新しい友達が一緒に勉強することになった」
そう転入生の紹介だ。さて、ココまで来て、誰が来た? と騒ぐ僕ではない。もっとも、周りはそうではなく、ガヤガヤと騒ぐことになってしまったが、それも先生が手を叩くまでだ。パンパンと手を叩くと途端に静かになる教室。それを満足そうに見渡しながら先生は、入り口に向かって声をかける。
「入っておいでっ!」
その声と同時にドアが開く。教室の誰もがそこに注目する。教室の入り口を開けてまず最初に目に入ったのは、このクラスには一人だけいる彼女と一緒の流れる金髪。それを大きなリボンでツインテールにしている。次は、その小さいながらも整った顔立ち。確かに可愛い女の子が多いクラスではあるが、それでも頭一つは抜き出ているといってもいいだろう。身内の贔屓目を抜いてもそれは間違いないと思う。現に、クラスの何人かは、ぼ〜っと呆けた顔をしていることだし。包まれている服は聖祥大付属小の白い制服。それが、彼女には実に似合っていた。
入ってきた彼女が教卓の隣に立つと、先生は黒板の高い位置に名前を書く。彼女が直接書かないのは、身長が届かないからだろう。
『蔵元アリシア』
和名と西洋の名前が入ったちょっと違和感を覚える名前が黒板に書かれる。と同時に
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