空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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していた。アルフさんは見かけなかったが、おそらく、子ども部屋でアキの子守でもしているのだろう。………最初に話す言葉が、アルフさんを見て、『ママ』だったら、母さんショック受けるだろうな。
そんなくだらないことを考えていると、母さんが僕たちに気づいたのか振り返った。
「あら、ショウちゃん、おかえりなさい。って、今日はずいぶん華やかね」
おそらく、後ろのアリサちゃんとすずかちゃんのことを言っているのだろう。母さんに見られた二人は頭を下げて、お邪魔します、と頭を軽く下げる。この辺りは、さすが、資産家の子どもなだけあってしつけが行き届いてるな、と思う。そんな二人に、はい、いらっしゃい、というと、台所にある食器棚からグラスを四つ取り出す。
「オレンジジュースでいいかしら?」
どうやら、飲み物を入れてくれるらしかった。何かを話すにしても飲み物は欲しいと思っていたところだ。実に有り難い提案だった。だから、僕はお願い、と言い、アリサちゃんたちは、ありがとうございます、というと再び頭を下げていた。
さて、と僕はいつもの定位置―――アリシアちゃんの隣―――に腰を下ろすと、忘れないうちに伝えておこうと思っていたことをアリシアちゃんと母さんに伝えることにした。
「ねえ、母さん、アリシアちゃん。聖祥大小の編入は大丈夫だって」
「あら、そうなの。よかったわね、アリシアちゃん」
「うん、やった〜っ! これで、お兄ちゃんと一緒に学校に行って、同じクラスで勉強できるっ!」
母さんは、少しだけでも編入のルールを知っているのか、僕から大丈夫という言葉を聞くと意外そうな顔をしていたが、すぐに微笑みに代わり、アリシアちゃんは、近くにアリサちゃんとすずかちゃんがいるのを忘れてしまうほど嬉しかったのだろうか、いつもどおりの態度で学校にいけることを喜んでいた。
「でも、同じクラスになるか、分からないわよ?」
アリシアちゃんが喜んだ内容に釘を刺すように言うアリサちゃん。確かにアリサちゃんが言うことは正論だ。僕と同じ学年とはいえ、同じクラスになるとは限らない。確かに現時点で聖祥大小への合格は間違いないと思う。算数、国語、理科、社会の四教科が試験科目であるが、それらに関していえば、算数と理科は満点が取れると思うから、後は、国語と社会だが、これが、流石に二年分となると大変だ。特に社会は、文字通り世界が違うところから来たのだから、ゼロから覚えなおしだ。編入試験までにどこまで覚えられるか、僕にはまったく分からなかった。
「え……そうなの? お兄ちゃん」
アリサちゃんの言葉を聞いたアリシアちゃんは、先ほどまでの喜びが嘘のように少し沈んだ声で、僕に確認してくる。ここで嘘を言って同じクラスになれなかったら、おそらくアリシアちゃん
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