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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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室は一学級の児童の数よりも多くなるため教室がいくつか必要になるほどに広いのだ。

 所狭しと机が並べられる中、僕は網の目を縫うように慣れた足取りで職員室を進んでいく。僕が一年生の頃からずっと学級委員をやっていたおかげともいえるのかもしれないが、そのせいで職員室の先生とは殆ど顔見知りで、机の配置ぐらいは覚えている。そのため、迷いなく進む事ができるのだ。

 僕たちの担任である―――橘京子先生のもとへ。

 先生の机の傍にたどり着くと、相変わらず先生は、机の上でカリカリと仕事をしていた。もっとも、放課後に用事もないのに残るような先生もいないので、仕事をしていないわけがないのだろうが。

「先生」

「……ん? ああ、なんだ、蔵元か。どうした? 今日は提出物はないはずだが」

 先生の何気ない言葉に僕は、はぁ、とため息を吐いた。

 確かに僕は、学級委員長をやっていて、提出物を持ってきたり、ちょっとした雑用のために先生と接触する機会は多い。しかし、小学生であれば、ちょっとした雑談のために先生に話しかけることもあるだろうに。僕の場合は、その可能性が最初から潰されているのだろうか。

「違います。今日はちょっと相談があるんです」

「相談?」

 僕がその言葉を口にすると同時に顔はこちらに向けながらも手は、ちらちらと確認することで仕事を続けていた先生が、初めて手を止めて、椅子を回して僕のほうに体を向けてきた。どうやら、きちんと話を聞いてくれるらしい。

「なんだ、クラス内で問題でも起こったか?」

「え? いえ、クラスでは特に問題はありませんけど」

 先生の言葉に少しだけ疑問を覚えた。

 ただ、少し相談があると言っただけで、どうしてクラス内での問題と思ったのだろうか? 学校生活や私生活での問題かもしれないし、もっと他のことかもしれない。どうした? ぐらいで聞いてくると思ったのだけど。もしも、先生が学校以外でのことは教師の仕事の範疇外で相談されても困る、というような先生ならそういう聞き方もしてくるだろうが、この先生はそんな先生ではないことは三年の付き合いの中で知っている。

 つまり、先生は、今のクラスの中で僕にとって相談するような事が起きることを把握していることになるが―――と、そこまで考えたところで、先生が何を言いたいか、少しだけ分かった。

「ああ、なるほど。僕に反感を持っている子たちのことですね」

 こっそりだが、彼らの存在は隼人くんと夏希ちゃんから聞いている。先生は、おそらくその子たちが何か問題を起こしたと思ったのだろう。

 僕がそのことを指摘すると、先生は本当に呆れたようにはぁ、とため息を吐いた。

「私は、蔵元と話していると、あんたが小学生だってことを忘れそうになるよ」

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