空白期(無印〜A's)
第ニ十五話
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ゴールデンウィークもすっかり終わってしまい、春というには少し暖かくなり、梅雨入りの模様を見せ始めた六月上旬になった。
ジュエルシードを巡る事件も終結してから、すでに一ヶ月が経過している。つい最近まで地球の近くに停泊していたアースラだが、どうやらようやく時空管理局の本局へと帰れるようだ。次元航路が不安定だから、と言っていたが、魔法関する知識が基礎的なものしかない僕にはよく分からない話である。結局、簡単に説明してくれたユーノくんの言葉に従い、海が荒れているから帰れない、程度に理解しているが。
最後だから、と挨拶に来てくれたクロノさん、リンディさん、ユーノくんと別れの挨拶を交わし、八月の下旬に魔法世界へと行くことを約束して、なのはちゃんや恭也さん、忍さんと一緒に彼らを見送った。二ヵ月後には再び会うことにはなっているのだが、それでも別れは寂しいものである。もっとも、今後の予定などを連絡するために次元通信機というものを預かっているので、ユーノくんやクロノさんとはいつでも連絡を取れる状態ではあるのだが。
そして、もう一つ。申請していたアリシアちゃんの就籍申請が家庭裁判所に受理された。申請してから一ヶ月だから早いのか遅いのか僕にはよく分からない。だが、これでアリシアちゃんには戸籍と住民票ができたわけだ。戸籍上の名前はアリシア・テスタロッサで作られているが、これは仮名というらしい。そもそも、アリシアちゃんの本当の身元は、文字通り世界が違うため見つかるはずがないのだが。
戸籍を手に入れたアリシアちゃんは、すぐに僕の両親と普通養子縁組を組んだ。組んだのはいいのだが、アリシアちゃんの名前が外国人のような名前だったためだろうか、『蔵元アリシア』となるわけだが、どうにも違和感が拭えない。それを言うなら、アリサちゃんのお母さんだって『梓・バニングス』なのだが。まあ、すぐに慣れるとは思うが。もっとも、アリシアちゃんは、僕らと同じ苗字になったのが嬉しいのか、やたら嬉しそうに笑っていた。
さて、アリシアちゃんが事実上の家族というわけではなく、書類上も国から正式に家族として認められた以上、一つの問題が浮上してきた。それについては、僕一人で解決することなど到底不可能であるため、こうして放課後に僕はある場所へ向かって歩いていた。
目的地は、あまり児童が行きたがらない場所でもある職員室。職員室と卒業生か、あるいは上級生が工作の時間に作ったのだろうか、木材で作られた可愛らしい看板に迎えられて、僕は職員室のドアを開けた。聖祥大付属小学校の職員室は教室を二つか三つほど壁をぶち抜いたといわんばかりに広い。六学年十学級すべての担任を合わせただけでも六十人必要であり、さらに学科ごとの先生や中間管理職の先生を合わせるとさらに人数は拡大する。よって、職員
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