空白期(無印〜A's)
第二十四話 裏 (エイミィ、ユーノ、アリサ、すずか、なのは)
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翔太を見送ったなのはは、自分の部屋に戻ってきた。パタン、という音共にドアが閉まる。
先ほどまでなのはに至福の時間を提供していたはずの部屋は、先ほどまでは打って変わって寒い部屋へと変貌していた。翔太というたった一人がいないだけでここまで寒くなるのか、というほどになのはにとっては寒い部屋だった。先ほどのことを思い返せば、尚のこと。
次にあの至福の時間を味わえるのはいつだろうか? それを想像すると絶望したくなる。少なくとも明日、明後日というわけではないだろうから。つい最近までは毎日、翔太との時間があったというのに。やはり、ジュエルシード事件など解決するべきではなかっただろうか、とまで思ってしまう。
はぁ、とため息をついたなのはの目に入ったものがあった。それは、机の上に放置されたままのコップ。そういえば、勉強していた途中で晩御飯に呼ばれたため、そのままだったのだ。手前にあるのが翔太のもので、奥にあるのがなのはのものだ。
不意になのはの手が動く。コップを片付けるためではない。なのはの目的はコップに刺さったままのストローだった。
―――ショウくんがさっきまで使ってたもの……。
まるで花の蜜に誘われる蝶のようにふらふらと翔太が使っていたストローへと向けて顔が動いていく。やがて、ストローの先に口が届きそうになったとき、口を開き―――そのまま、翔太が使っていたストローを銜える―――直前で正気に戻った。
―――な、なにやってたんだろう?
確かに翔太が使っていたものを銜えるというのは魅力的なものに思えたが、それはやってはいけない一線を越えるようで、なのはの中に残っていた常識がそれを留めた。
まるで、先ほどのことを忘れるように、誤魔化すようにぶんぶんと首を横に振ると、もうこんな変な気分になるのは、ごめんだといわんばかりに、この危険な代物を早く処分しなければ、といわんばかりに、さっ、とコップを二つ掴むと先ほど入ってきたドアからドタドタと慌てて下の階へと降りていった。
机の上の桃色のハンカチの上に鎮座するレイジングハートだけが、その様子を見つめるのだった。
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