空白期(無印〜A's)
第二十四話 裏 (エイミィ、ユーノ、アリサ、すずか、なのは)
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くる。幼い頃からいい子でいなければ、と思いながら、人に深く踏み込むことに恐怖心を抱いていたなのはにとって人がこんなに近くにいるのは家族以外では、初めてであり、しかもその相手は、なのはの唯一の友人である翔太なのだ。否応なしにも彼女の心は歓喜で震えていた。
こうなった経緯は実に簡単だ。ゴールデンウィークが終わった後の休日。約束どおりなのはが翔太に魔法を教えるという日になったことから起因する。魔法の訓練は長時間続けようにも翔太の魔力が長続きせず、午前中で終わってしまった。そこで、まだ翔太と別れたくないなのはが、勉強を教えてっ! と言ったところ、翔太がそれを快諾したのだ。
場所は、なのはの部屋。翔太は高町家に行った経験はあるが、なのはの部屋に行くのははじめての経験だった。なのはは、自分の部屋に翔太が来ると分かって、心が弾むほどに踊った。部屋での一時を想像して、思わず呆けてしまうほどには。
しかしながら、それで大騒ぎになったのはなのはだけではない。なぜなら、なのはは今まで友人がいなくて、家族会議が毎週のように開催されていたのだ。そんななのはが、友人を連れて家にやってくる。確かに翔太を連れてきたこともあったが、それは魔法関連のことだ。今回は、友人としてやってくるのだから、程度が異なる。
よって、翠屋に出勤していない恭也と美由希は、なのはから連絡を受けてそわそわしていたのだが、翔太と部屋で二人っきり、という状況に舞い上がっていたなのはが気づくことはなかった。
さて、なのはが机に座って、その横に椅子を持ってきて、横からテキストを覗き込むように座る翔太。少なくともなのはにとっては至福の時間だった。この時間が永遠に続けば良いのに、と思えるほどには。しかしながら、いつだって邪魔者は現れるものだ。
「なのは〜、お菓子もってきたよ〜」
がちゃっ、とドアを開けてやってきたのは、なのはの姉である美由希だ。お盆の上には、翠屋のものであろうシュークリームとストローの刺さったオレンジジュースが入っていた。
「お姉ちゃん……」
邪魔しやがって、というような意味をこめて睨みつけるが、美由希とて御神流の剣士である。なのは程度の小娘の嫉妬など柳に風という感じで軽く受け流し、仕方ないなぁ、という笑みを浮かべていた。
「はいはい、それじゃ、ここに置いていくから」
「ありがとうございます」
ごゆっくり〜、と言葉を残して出て行く美由希に対して翔太がわざわざ椅子から降りて、お礼を言う。そんな翔太に、いいよ、いいよ、といわんばかりにひらひらと手を振って美由希は、そそくさとなのはの部屋から出て行った。
「それじゃ、せっかくだし、食べようか?」
「……うん」
―――せっかく、ショウくんが近くにいたのに……。
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