空白期(無印〜A's)
第二十四話 裏 (エイミィ、ユーノ、アリサ、すずか、なのは)
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ずかが翔太君に恋をするなんてね」
「え?」
すずかにとって忍の言葉の一部が信じられなかった。そして、驚きの声を上げたすずかをくすっ、と仕方ないなぁ、というような苦笑を浮かべると半ばからかうような口調で口を開く。
「やっぱり気づいていなかったのね。他の女の子と男の子がいちゃついて不安になるなんて『恋』しかないでしょうに」
―――これが、恋?
姉の言うことを疑うわけではないが、すずかには信じられなかった。なぜなら、すずかの感情は、すずかが知るような恋という感情とはかけ離れていたからだ。すずかが、知るような恋は、もっと素敵で、素晴らしいもので、ドキドキするようなものだったからだ。こんなに不安に押しつぶされそうで、泣きたくなるような感情とは思っていなかった。
「まあ、大変でしょうけど、頑張りなさい。恋は戦争よ」
「せ、せんそう?」
また、物騒な単語が出てきたものだ、とすずかは思う。だが、忍は重々しく頷く。
そういえば、恭也さんという人とお付き合いする、なんていっていたから、姉はきっと、戦争を勝ち抜いたのだろう、と思った。
「そうよ。まあ、翔太くんの場合、アリサちゃんが一番の障害かな? 応援してるから頑張りなさいね」
「う、うん」
とりあえず、姉の迫力に押されるように頷くすずかだったが、どうやって頑張ればいいのか皆目見当もつかない。ついでに言うと、アリサと翔太はすでに恋仲なのだから、既に負けているのではないだろうか? とも思ったのだが、忍の前でそんなことはいえなかった。
それになによりも―――今は、初めて自覚したこの『恋』という感情を今だけは、ただかみ締めたかった。
◇ ◇ ◇
高町なのはは、今、自分の表情を鏡で見るとこれ以上ないぐらい崩れているんだろうな、という自覚を持っていた。
「なのはちゃん? 聞いてる?」
「あ、うん。もちろんだよっ!」
事実だ。なのはが翔太の声を聞き逃すはずがない。
少しだけ不審に思ったようだったが、翔太はそれ以上気にすることはなく、なのはの目の前に広げられているテキストの上に指を這わせて説明の続きを始めた。
そう、今、翔太となのはは勉強をしているのだ。場所は、高町家のなのはの部屋。なのはと翔太はなのはの部屋で、なのはの机の上にテキストを広げて、二人っきりで勉強をやっていた。もっとも、元来、勉強机というのは、二人で勉強できるようにできてはない。それを二人で一つのテキストを見ているのだ。必然的に二人の距離は密着するほどに近くなっている。
なのはの真横には、下手すれば翔太の吐息が聞こえてきそうなほどに近い距離に顔があり、肩は完全に触れ合っており、そこから翔太の温もりが伝わって
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