空白期(無印〜A's)
第二十四話 (蔵元家、幼馴染、男友人、担任)
[2/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
顔を出した。リビングのテーブルには既にいいにおいをさせているトーストがちょうど焼き終わっているようで、妻と翔太がテーブルに座って朝食を先に食べていた。
「おはよう」
宗太が、朝の挨拶をしながらリビングに入ると翔太と妻は、ほぼ同時におはようと挨拶を返してくれる。自分が起きる時間は小学生と同じか、と思うと思うところがあるが、彼が学校に出る時間と自分が仕事に出る時間が同じなのだから仕方ない。
ふと、パジャマ姿のまま、トーストをかじりながら、おそらくは牛乳のほうが多く比率があるであろうカフェオレを飲む息子について考える。
こうやって見てみると、どこにでもいる普通の息子だ。しかしながら、その中身は、近所の私立小学校で首席になるほどの頭脳を持っているというのだからにわかには信じがたい。
いやいや、よくよく考えてみると、自分の息子は幼稚園の頃から、どこか普通とは異なっていた。いや、容姿や体格で言えば、平均、平凡という言葉がよく似合うのだが、こと人間関係については奇妙な事が多かった。頼りにされるガキ大将気取りというよりも、どこか兄的立場を装っているような気がした。自分がゴミを捨てるときに一緒になった近所の住人から、それなりに評判だったのだ。彼の息子の翔太は。主に子守の名人としてだが。
もっとも、それだけなら、多少、人を率いる才能のようなものがあるのだろうか? と考えるだけでよかったのだが、自分の息子の異常さを感じざるを得なかったのは、聖祥大学付属小学校の試験を受けたときだろうか。宗太としては、どこでもよかったのだが、ご近所の勧めもあり、翔太に聖祥大付属小学校を受けさせることにしたのだが、まさか、入学試験で特待生になろうとは、夢にも思っていなかった。しかも、最高クラスだ。受験の翌々日に呼び出されたときはなんだろうか? とビクビク怯えながら妻と小学校にいったものだ。
さらに言えば、三年間、誰にも主席を譲らないというのだから大したものだ。確かに塾には、翔太の希望で行かせているが、塾に行くだけで主席が取れるようであれば、誰もが一番になっているだろう。
これらの異常性に対して、宗太が翔太に思うところは―――特になかった。
彼が自分の息子であることには間違いないし、せいぜい鳶が鷹を生んだと考えるか、妻の遺伝子が相当に優秀だった、ということだろう、ということぐらいだろうか。ちなみに、彼自身は自分自身をあまり信用していないため、自分の遺伝子による影響とはまったく思っていない。
それに宗太は、頭がいいだけで、どうにかなるほど社会は甘いものではないことをよく知っている。確かに翔太は何にでもなれる可能性を秘めているだろう。難関といわれる国家公務員第一種とて、医者とて、弁護士とて、翔太の頭脳がそのままで、彼が真面目に勉強
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ