暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
プロローグ
[7/7]

[9] 最初 [1]後書き [2]次話
ぁーー!!!! また、またなのか? 我が子は、泣いてくれないのか? 笑ってくれないのか?)

 目の前には我が子を抱き、唯泣き叫ぶ最愛の妻の姿。すぐに妻の元へ行き、泣かない赤ん坊ごと妻を抱き締める。

 全てに裏切られたような気分だ。自分の可能な範囲で、出産に良いとされる秘薬を買い求めた。戦線では夫妻が抜けた穴を埋める為、上司や部下同僚達はかなりの無理をしてくれた。使用人達は最高の環境を整えてくれた。自分の周りにいる人間は、すべての者達が全力を尽くしてくれた。なのに何故だ。怒りの持って行き場が見つからない。周りの者達に当たる訳には行かない。始祖ブリミルに怨み言を言った所で、気が晴れる事は決して無い。まして妻や泣いてくれない我が子に当たる等、絶対にあってはならない事だ。

 アズロックが気付くと、何時の間に夜の帳が下りたのか、窓の外に皮肉にも美しい星が爛々と輝いていた。その美しい姿は、まるで当てつけのようだった。アズロックの怒りは、全てがその星に向かった。

(我が子を、返せ!! 何故、私や妻ばかりこのような目に遇わねばならん!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せぇぇぇーーーーーー!!)

 星を睨みつけ、心の中で只管に叫び続ける。そしてついに、その思いは口からも飛び出す事となる。

「我が子を返せぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 その時、星が一瞬だけ強く光った。この場にいた全員がそれに気付き窓の外を見る。だが、星は再び強く光る事は無かった。いや、それどころではない。

「あああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!」

 唯の一度も泣かないはずの赤子が泣いたのだから。

「あなた、この子が私達の子が泣いて……泣いてくれています」

 妻の目に流れるのは、先ほどまでの絶望の涙から感動の涙へと変わっていた。

「星が……星が我が子を返してくれた」

 夫の言葉に、妻は大きく頷く。

「あなた。この子は、男の子ですよ」

 夫は妻の言葉に、嬉しそうに頷く。

「おぉ。そうだ。この子は星に助けられた。ならば、星にちなんだ名前にしなければならん」

「はい」

 正直に言えば、名前など何十通りも考えていた。が、今この瞬間それら全てが、我が子に相応しくないと思えてくる。この星の奇跡の子には……。

「星に正義を、輝かしい契約を!!

 私は、この子に名前をここに決めた。

 この子の名は、ギルバート・アストレア・ド・ドリュアスだ」






 こうして、運命を変える者が世界へと生まれおちた。
[9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ