暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
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ぁーー!!!! また、またなのか? 我が子は、泣いてくれないのか? 笑ってくれないのか?)
目の前には我が子を抱き、唯泣き叫ぶ最愛の妻の姿。すぐに妻の元へ行き、泣かない赤ん坊ごと妻を抱き締める。
全てに裏切られたような気分だ。自分の可能な範囲で、出産に良いとされる秘薬を買い求めた。戦線では夫妻が抜けた穴を埋める為、上司や部下同僚達はかなりの無理をしてくれた。使用人達は最高の環境を整えてくれた。自分の周りにいる人間は、すべての者達が全力を尽くしてくれた。なのに何故だ。怒りの持って行き場が見つからない。周りの者達に当たる訳には行かない。始祖ブリミルに怨み言を言った所で、気が晴れる事は決して無い。まして妻や泣いてくれない我が子に当たる等、絶対にあってはならない事だ。
アズロックが気付くと、何時の間に夜の帳が下りたのか、窓の外に皮肉にも美しい星が爛々と輝いていた。その美しい姿は、まるで当てつけのようだった。アズロックの怒りは、全てがその星に向かった。
(我が子を、返せ!! 何故、私や妻ばかりこのような目に遇わねばならん!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せぇぇぇーーーーーー!!)
星を睨みつけ、心の中で只管に叫び続ける。そしてついに、その思いは口からも飛び出す事となる。
「我が子を返せぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
その時、星が一瞬だけ強く光った。この場にいた全員がそれに気付き窓の外を見る。だが、星は再び強く光る事は無かった。いや、それどころではない。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!」
唯の一度も泣かないはずの赤子が泣いたのだから。
「あなた、この子が私達の子が泣いて……泣いてくれています」
妻の目に流れるのは、先ほどまでの絶望の涙から感動の涙へと変わっていた。
「星が……星が我が子を返してくれた」
夫の言葉に、妻は大きく頷く。
「あなた。この子は、男の子ですよ」
夫は妻の言葉に、嬉しそうに頷く。
「おぉ。そうだ。この子は星に助けられた。ならば、星にちなんだ名前にしなければならん」
「はい」
正直に言えば、名前など何十通りも考えていた。が、今この瞬間それら全てが、我が子に相応しくないと思えてくる。この星の奇跡の子には……。
「星に正義を、輝かしい契約を!!
私は、この子に名前をここに決めた。
この子の名は、ギルバート・アストレア・ド・ドリュアスだ」
こうして、運命を変える者が世界へと生まれおちた。
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