暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
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…大丈夫」
答えたのはナベリウスだった。男は「ありがとう」と礼を言い、魂に近づき右手を伸ばす。軽い気持ちで、少し撫でてやるだけのつもりだった。
しかし、触れた瞬間にそれは起こった。その魂は男の右手の内部に侵入し、腕の中を通りそのまま心臓部分(男の霊体の核・魂が有る場所)へと進み、男の魂と子供の魂がぶつかった。その瞬間、男は人の姿を保てずに魂だけの姿になる。何が起こったか、男には全く理解できなかった。
「……融合?」
ナベリウスは呟き、近くで見ていたリタは絶句していた。だが男の方は、そんな事を気にする余裕は無い。魂に恐ろしい激痛が走ったからだ。それは例えるなら、頭を開かれ脳を捏ね回されているような感覚・激痛・悪寒が走る。また同時に、自分が自分ではなくなっていく感覚。これは、浸食されている?いや、逆に浸食しているのかもしれない。意識が混乱し、自分が何者かさえ分からなくなって行く。
「………………!?」
「………………!?」
どれだけ時間が経ったのか、男にはまるで分らなかった。何日? 何時間? 何分? 何秒? いや、ひょっとしたら一瞬の出来事だったのかもしれない。
声が……聞こえる。いや聞こえるのではない。声を感じるのだ。何となくだが、この声がリタとナベリウスの物だと男には分かった。どうやら二人は、男をかなり心配してくれている様だ。男は激痛も悪寒も引いたので、もう大丈夫だと伝える。それは声にはならなかったが、二人には十分に伝わった。リタは胸をなでおろし、ナベリウスは頷く。
「ナベリウス。さっきの融合って、如何言う事?」
リタがナベリウスに質問を投げかける。
「融合。二つの魂が一つになり補いあった」
ナベリウスの言葉を聞いたリタは、一つになった魂に手をかざした。そして目を瞑り意識を集中する。
「すごい!!魂の欠けが綺麗になくなってる。それに、……力強い魂。二人分だからかな? あの子の時に感じた、肉体へのラインもまだ生きてる。これは、奇跡と呼んで良いほど本当にすごい。こんな貴重な体験、セリカ様と旅をしていた時以来」
リタは彼女にしては珍しく、本当に嬉しそうだ。それはナベリウスも同様の様で、口元には少しだけ笑みが浮かんでいる。
「リタ。この魂の融合は、おそらく誰かによって仕組まれたもの。でも、本来なら消滅するはずだった魂が、再び生を受け輪廻の輪に還って逝く。これは私達にとって祝福すべき事」
ナベリウスも余程嬉しいのか、饒舌になっている。
その時、あたりを強く優しい光が包んだ。
「これは……大いなる意思」
「大いなる意思?」
ナベリウスの呟きに、リタが復唱で応える。
「ディル=リフィーナではない、どこかにいる神様」
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