第七十五話 アイザム、死す
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第七十五話 アイザム、死す
メルビとダンゲは何やら話していた。そしてメルビはその中でダンゲから色々と聞いていた。
「そうか、ボアザンも色々とあるのだな」
「はい」
ダンゲは沈んだ顔で頷いた。
「本来ならばあの方が皇帝となられる筈だったのですが」
「だがそれは適わなかった。そしてズ=ザンバジルがか」
「そうなのです。あの男が皇帝になって以来ボアザンは腐っていくばかりです」
「嘆かわしいな。そして今のボアザンになったと」
「ハイネル様も。今は行方知れずですし」
「プリンス=ハイネルもか」
「はい」
「彼のことは以前から聞いていた」
メルビは答えた。
「聞いていると。リヒテルに似ているな」
「リヒテル殿と」
「そうだ。リヒテルもまた一本気な男だ」
彼は言う。
「正義と己の信念を信じ、そして戦う。卑怯や未練とことさらに嫌う」
「ハイネル様もそうであります」
「だからこそ。怖いのだ」
「怖い」
「純真過ぎる男は。時として簡単なことに気付かない」
彼はまた言った。
「そして。簡単なことに気付かない。それが時として悲劇に繋がるのだ」
「ハイネル様は危ういところで気付かれました」
「うむ」
「そして。今も戦っておられます」
「リヒテルも。そうなればよいが」
メルビは言った。
「今のままでは。あの男にとってもよくはない」
「はい」
「そして。オルバンにしろズ=ザンバジルにしろ」
彼等についても言及する。
「滅ぼさなければならない。ああした輩こそが平和の敵だ」
その声はとりわけ強いものであった。彼もまたオルバンやズ=ザンバジルに嫌悪感を抱いていたのである。
ビッグファルコンを占領したバーム軍は勝利の美酒からすぐに醒め次の戦いに取り掛かろうとしていた。リヒテルはアイザムを交え作戦会議を行っていた。
「ロンド=ベルはダイモビックに撤退しました」
ライザが報告する。
「そしてそこで反撃の機会を窺っております」
「フン、無駄なことだ」
だがリヒテルはそれを一笑に伏した。
「最早地球人共に勝利はない。次の鉄槌を受けるだけだ」
「それではまたゾンネカイザーを」
「無論だ」
バルバスに答える。
「すぐにゾンネカイザーを出せ。そして一気に日本を占領するぞ」
「いや、待てリヒテル」
だがそんな彼をアイザムが制止した。
「アイザム」
「ダイモビックへの攻撃は少し待ってはくれないか」
「どうしたのだ」
「今俺は新たな戦闘獣を開発中だ」
彼は言った。
「それが完成してからでも攻撃は遅くはないと思うのだが」
「そうだったのか」
リヒテルはそれを聞いて頷いた。
「また戦闘獣を開発してくれていたのか」
「ああ」
アイザムも頷いた。
「それからでもいいと思うのだが
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