第七十四話 ファルコン壊滅の危機
[15/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
げよ、あまり時間がない」
大帝は言った。
「我等の母星ゼーラがブラックホールに飲み込まれるのはあと僅かだ」
「はい」
「それまでに地球を制圧し、ゼーラの民を移住させる。よいな」
「御意に」
彼等もまた目的があった。そこには妥協できないものがあった。だからこそ戦うのであった。
「ビッグファルコンが」
「はい」
この話はエリカ達のところにも届いていた。エリカは報告して来たダンゲに問う。
「アイザム博士の開発したマシンによって」
「そうか」
それを聞いたメルビはそれが当然であるかの様に頷いた。既に酒での芝居は止めている。そして聡明な顔でそれを聞いていたのであった。
「アイザムならば仕方がない」
「メルビ様」
「あの男が開発した超弾性金属は厄介なものだからな」
そして彼はこう述べた。
「アイザム様といえばリヒテル様の御親友」
「うむ」
メルビはマルガレーテの言葉にも頷いた。
「そしてバームで最高の科学者であられた方。その様な方が」
「それだけバームも本気だということだ」
「けれどそれでは一矢が」
「落ち着け、エリカ」
メルビは焦りを見せたエリカに対して言った。
「今ここで焦ってもどうにもならぬ。今は動くな」
「ですが」
エリカはそれでも動揺を見せていた。
「一矢が敗れたのです。あの人の敗北は私達の敗北でもあります」
「確かに竜崎一矢は敗れた」
メルビもそれは認めた。
「だが彼はまだ生きている」
「ですが」
「彼を信じろ」
メルビははっきりした声で言った。
「一矢を」
「そうだ。御前は彼を愛しているな」
「はい」
エリカは頷いた。
「ならば今は動くな。彼等の為にもな」
「・・・・・・・・・」
エリカは答えることができなかった。だがそこにもう一人彼女を止める者が現われた。
「エリカさん」
「貴女は」
それは貴族の礼装を着た美しい少女であった。
「私はリリーナ=ピースクラフト」
「リリーナ=ピースクラフト」
「地球人です。メルビ殿のお招きに応じこちらに参りました」
「リリーナ殿、よく来られました」
メルビは彼女に一礼した。
「今日お招きしたのは他でもない理由からです」
「わかっております」
リリーナは優雅に微笑んで彼に応えた。
「平和の為に」
「そう、地球とバームの平和の為に」
メルビも言った。
「よくぞ来て頂きました。このメルビ、心から御礼を申し上げます」
「いえ、私も感謝しております」
リリーナはそう言葉を返した。
「バームにも。平和を求めておられる方がいたと知ることができましたので」
「我々も地球の方々と変わるところはありません」
メルビは穏やかな声で述べた。
「いい者もいれば。悪い者もおります」
「はい」
「そして平和を求める者も。我々は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ