四話 名前と家族
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「僕、もしかして迷惑だった?」
「んー、そんなことないよ。」
義之が心配になって聞いてみるが、由夢は僅かに考え込んでそれを否定する。
「でも…」
「大丈夫だよ。お爺ちゃんも、お母さんも大歓迎って言ってたもん。お姉ちゃん、最近怒ってばっかりだから。気にしなくていいと思うよ。・・・・・・わ、わたしもいやじゃないし。おにいちゃんたちがおにいちゃんになるの」
顔をわずかに赤くしながらも、どこか嬉しそうに由夢は言った。
「そ、それよりも、はやく中に入ろう?かぜひいちゃうよ」
そして、それを誤魔化すように義之の手を引っ張ると由夢は家の中へと入っていく。
「ほら、お兄ちゃんも早く!」
「あいよ」
由夢に急かされ、扉を潜って家に入ると温かい空気、そしておいしそうな匂いが漂ってきた
そんなごく普通である感覚に、悠二は不意に涙ぐみそうにすらなる。
(これじゃ、さくらを笑えんな)
先ほどはさくらを同乗していたが、自分も大して変わらないことを思い出して、内心苦笑する。
「あ、え、えっと、おじゃまします」
「ちがうよ」
由夢が義之の言った言葉を否定する。
「え?」
「ただいま」
「ん?」
「だから、ただいま、だよ」
由夢が屈託のない純粋な笑みで言う
「今日からおにいちゃんのおうちだもん」
「うん・・・」
由夢につられて、義之も笑みを浮かべた。
(家族・・・か)
そんな思いを抱きながら、悠二も二人に続く。掃除の行き届いた綺麗なフローリングの床を音姫に無愛想に渡されたスリッパに履き替えて歩いていく。
由夢が扉を開けると
「いらっしゃい、二人とも」
「ようこそ、朝倉家へ」
居間ではクリーム色のベストを着た壮齢の男性と黒い髪の優しげな表情が印象的な綺麗な女性が二人を待ち受けていた
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