第七十三話 バルマー司令官マーグ
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カがそんなシンジに対して言う。
「こんなの最初からわかってることじゃないの!?」
「けど」
「けどもどうしたもないわよ、どっちみち戦いは避けられないのよ」
「避けられへんいうても自分から喧嘩売るのはどないや?」
「あんたも五月蝿い!男なら過ぎたことでとやかく言わない!」
トウジにもこう返す。
「やってやるわよ!どっちみちバルマー相手にするのもわかってたことだしね!」
「けれど気をつけてね」
レイは熱くなるアスカに静かに言う。
「数が多いから」
「わかってるわよ、そんなこと」
「それに。あの人手強いわよ」
「あの人って!?」
「マーグさんって人」
シンジの問いにも答える。
「強いわ。私にはわかる」
「わかるって」
「そうだね、それは感じるよ」
タケルがそれに応えた。
「兄さんは前に会った兄さんとは違う」
「タケルさん」
「ずっと強くなっている。けれど俺は」
「タケルさん、頑張って」
レイはいつもの感情の見えない声で言った。だがそこには心が感じられた。
「タケルさんが。お兄さんを救えるから」
「レイちゃん」
「ちょっとレイ、あんたどうしたのよ」
アスカがいつもと少し様子の違うレイに対して声をかけてきた。
「優しいじゃない。どういう風の吹き回しよ」
「タケルさんいい人だから」
レイはポツリと答えた。
「幸せになって欲しいの」
「幸せって」
「何か場違いな言葉やな」
「けれどいい言葉だよね」
だがシンジはそれに頷いた。
「特にタケルさんみたいな人は。僕も幸せになって欲しいよ」
「シンジ」
「何かいいこと言うわね、シンジ君」
「ミサトさん」
ここでミサトがモニターに出て来た。ミサトは悪戯っぽくウィンクしてモニターに顔を出していた。
「成長したわね、また」
「そうでしょうか」
「ええ。私もうかうかしてられないわね」
「そろそろ三十だしね」
「そうなのよね。もうお肌も・・・・・・ってこら」
隣にいるリツコに突っ込みを返す。
「私はまだ二十九よ。それに女は三十になってからが本当の花なのよ」
「そうだったの」
「そうなの。だから歳のことはいいの」
「そう」
「うかうかしてられないってのは人間としてよ。シンジ君なんて最初はあんなに頼りなかったのに今じゃタケル君のことまで気遣えるなんて」
「貴女もタケル君のこと心配してたわね」
「そりゃタケル君綺麗な顔してるから・・・・・・ってそこじゃなくて」
どうも今のミサトは空回りが見られた。
「そんなんじゃないのよ。他人を心配できるだけ人として成長したんだなって。それが嬉しいのよ」
「嬉しい」
「そうよ。だって自分のことしか考えられなかったシンジ君がね」
「他人への配慮が出来る様になったと」
「いいことじゃない、それって」
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